異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

野村浩二の『ポスト京都の経済インパクト』

環境に過大な期待を寄せる新成長戦略

温暖化対策と交差する成長戦略
太陽電池で成長を牽引できるか?

2010年1月28日(木)公開
環境エネルギー政策と成長戦略

 2009年1月12日付けの日本経済新聞によると、鉄鋼大手4社は2020年までに、海外での生産能力を現在の約1700万tから約6600万tへと4倍に引き上げるという。日本の高炉メーカーは、海外から鉄鉱石を輸入し、国内で銑鉄から粗鋼、そして鉄鋼製品まで生産する事業モデルをとってきた。今後10年間で海外での生産能力を現在の国内水準の8割程度まで高めるという転換の理由には、国内市場の成熟や円高傾向が挙げられているが、鳩山政権が掲げる1990年比25%削減という2020年の中期目標がその決断の一要因でもあったろう。海外での能力拡大がそのまま国内生産の縮小につながるものではないにせよ、大きな転換期にあることは確かである。

 2009年の年の瀬、「新成長戦略」が閣議決定された。“強みを生かす成長分野”として第一に掲げられたものは、“グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略”である。それはイノベーションというよりは、グリーン成長を実現するため、太陽光や風力など再生可能エネルギー等への投資をこれまで以上に推進することを構想している。

 麻生政権時の2009年2月の終わり、温暖化対策やエネルギー政策としては、政府は太陽光発電による余剰電力を電力会社が通常の2倍の価格で10年間買い取るという、日本版の電力の固定価格買取制度(フィードインタリフ:FIT)を発表していた。本年3月上旬に国会に提出される温暖化対策基本法案でも、再生可能エネルギーのエネルギー供給に占める比率を現在の1%強から10%に引き上げる方針が盛り込まれるという。

 重要なことは、「新成長戦略」では、再生可能エネルギーへの資源配分の傾斜を環境・エネルギー政策としての手段ではなく、2020年に向けた成長への戦略として掲げていることである。こうした成長戦略としての期待感の膨張は、90年比25%削減を掲げるための前提条件であった“主要国の意欲的な目標の合意”を希薄化させてしまっているようにすら感じられる。しかし、25%削減への具体的な道筋と同様に、「新成長戦略」でも再生可能エネルギーの積極投資が成長戦略としてどの程度見込まれているのか、数量的な評価は見えてこない。
 

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この記事の目次
環境に過大な期待を寄せる新成長戦略
温暖化対策と交差する成長戦略
太陽電池で成長を牽引できるか?

エネルギー技術 太陽光発電/風力発電/再生可能エネルギー

エネルギー政策 日本/欧州/BRICs