異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

中上英俊の『暮らしとエネルギーと温暖化』

低炭素時代の住まいを考える 第3回

現在の住宅設備に影響を与えた
セントラル暖房へのチャレンジ

2009年6月15日(月)公開
449カ所に及んだ計測ポイント

 今回は、大阪ガス東豊中実験住宅における実験結果について紹介したい。1960年代に行われたこの実験は、実際に居住者が普段どおりの生活をしながら、たとえば、特別な光熱費の補助などを受けない場合に、どのようなエネルギー使用実態を示すのか、さらには、さまざまなタイプの暖房・給湯設備の使用に伴う利点や問題点などを把握しようとしたものである。

 前回も説明したようにこのような試みは、わが国初と言ってよいものであった。さらにこの実験で得られた結果は、当時の日本住宅公団(現・都市再生機構)の住宅設備開発の基礎資料として参考に供されたという点でも特筆される。

 実測されたのは、各居室やトランクルーム、玄関、浴室の温度や湿度にはじまり、壁の温度、暖房機からの温風温度。風呂や台所、シャワー、給湯タンクの温水温度、さらには屋外の気温や湿度、水道水温など449カ所に及んだ。いまから40年も前の技術水準から考えると破格の高レベルであった。また、ガスや電気、水の消費量も1時間ごとに細かく計測されており、給湯・暖房用のガスに至っては15分間隔で計測するという入念さであった。

 その結果、冬期のエネルギー消費量については、大阪における平均的な家庭の約2倍となり、当時の高額所得層(昭和42年当時の年収が160万円以上)のエネルギー消費レベルとほぼ等しかったという。

 給湯と暖房については、実測結果の詳細な分析がなされていて興味深い。たとえば、給湯箇所別に行った給湯温度や給湯量などの実測・比較結果から、台所では中間期の26.6℃に対して冬期で28.6℃、風呂では中間期の42.6℃に対し冬期は54.0℃、シャワーは中間期と冬期ともに34.6℃、洗面では中間期34.2℃に対し冬期は45.0℃というように、季節におけるお湯の使用温度の違いが明らかとなった。
 

■風呂や台所、洗面で多くを消費

冬期と中間期における給湯熱量データなどの比較
  台所 風呂 シャワー 洗濯 洗面 合計
冬期 熱量平均値(kcal/日・戸) 2920 3980 66 574 1110 8650
熱量構成比 34% 46% 1% 7% 13% 100%
給湯量(リットル) 149 86 3 14 31 283
給湯量構成比 53% 30% 1% 5% 11% 100%
給湯温度(℃) 28.6 54 34.6 49.1 45
中間期 熱量平均値(kcal/日・戸) 803 1750 163 354 328 3398
熱量構成比 24% 52% 5% 10% 10% 100%
給湯量(リットル) 93 71 10 16 20 210
給湯量構成比 44% 34% 5% 8% 10% 100%
給湯温度(℃) 26.6 42.6 34.6 40.4 34.2

 
冬期と中間期のデータを見ると、冬期には2倍以上のエネルギーを消費しており、なかでも風呂や台所、洗面で多くを消費していることがわかる。なお、水温は冬期9℃、中間期18℃とする(出所:東京大学生産技術研究所 勝田研究室「密閉型燃焼器具を用いたホームセントラル暖房・給湯時の環境設備に関する実験的研究」、日本住宅公団建築部調査課 1971年3月)
 

 特に興味深かったのは、風呂の沸き上がり時間に対する満足度である。当時、ガス炊きの風呂釜がなかった家庭では、薪で風呂を沸かすのに冬期だと30分以上かかることは珍しくなかった時代である。この実験での調査では、沸かすのに10分以内ならば満足率は100%、すなわち全員が満足という結果となった。このような要件を満たすガス温水器の能力が、その後の瞬間湯沸かし器などでは標準的な仕様になっていくのである。
 

■ガス風呂の満足度は沸き上がり時間10分が目安

冬期における風呂の沸き上がり時間と満足率
  沸き上がり時間
10分以内 15分以内 20分以内 25分以内 30分以内
満足率 100% 93% 64% 29% 0%

 
ガス炊き風呂釜の利用者は10分以内に沸き上がれば全員が満足という結果が出た(出所:東京大学生産技術研究所 勝田研究室「密閉型燃焼器具を用いたホームセントラル暖房・給湯時の環境設備に関する実験的研究」、日本住宅公団建築部調査課 1971年3月)
 

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この記事の目次
低炭素時代の住まいを考える
第3回
現在の住宅設備に影響を与えた
セントラル暖房へのチャレンジ

エネルギー消費 建築物/家庭部門

CO2削減技術 省エネルギー

CSR対策 温暖化防止費用