異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

中上英俊の『暮らしとエネルギーと温暖化』

家庭の省エネルギーはどう進めるか-1

企業動かした市民の声
大幅改善した待機電力

「待機時消費電力」で年間1万円をムダ使い

 人のいない部屋の照明や誰も見ていないテレビのつけっぱなし、お湯の流しっぱなしなど、私たちの日常生活では、知らず知らずのうちに電気やエネルギーを浪費していることが多いのではないだろうか? 私の小さいころには、両親から、このようなエネルギーの使い方を厳しく諭されたものだ。「もったいない」という言葉が日常的な指摘だった。まさか今になって、外国の方から、「もったいない」運動が提唱されるとは思ってもみなかった。

 近年では、ほかに思わぬ無駄があることが知られるようになってきた。その代表的事例が「待機時消費電力」だろう。この問題を日本で初めて定量的に解析し、公表したのは、1992年10月、当時の商品科学研究所(現在は解散している)の中田道子さんをはじめとする5人の女性研究チームだった。

 1995年1月に、私の研究所でも同様の計測を行う機会があった。明らかに留守と思われる家庭での電力消費を24時間実測したところ、冷蔵庫以外の電力消費量が冷蔵庫の2倍に及ぶといった例を観測したのがきっかけだった。これを契機に、当時、財団法人電力中央研究所によって開発試作されたばかりの精度の高い小型計測器をお借りして、待機時消費電力の計測を行った。都内の高層公団住宅にお住まいの二世代家族(夫婦、10代の男子3人の5人家族)、間取りは4LDK、延べ床面積は95m2である。計測期間は1996年6月12日から16日にかけての5日間であり、まだ冷房は使われていない。

 計測の結果、このお宅での一日の電力消費量は17kWhであったが、そのうち待機時消費電力は全電力消費量の15%にも及ぶ2.5kWhであった。照明を除く家電製品等の電力消費量は8.7kWhであったから、単純に待機時消費電力との比を見ると使用時の消費量の30%にも達していたことがわかる。

 時を同じくして、欧米でもこの問題が注目を集めつつあった。私の友人でもある米国のローレンス・バークレー国立研究所のアラン・マイヤー氏らの研究チームは、カリフォルニア州やフロリダ州での計測で、この「待機時消費電力」を指摘している。彼らはこの種の電力を「Leaking Electricity(漏れ電力)」と呼んでいるのが面白い。彼らの結果では、待機時消費電力は家庭全体の電力消費量の10〜20%が計測されたという。また欧州でも、当時、IEA(国際エネルギー機関)に所属していた、やはり友人のベノア・ルボー氏たちが同様の計測結果を報告している。

 その後、経済産業省の委託を受けて、さらにサンプル数を増やした実測を行った。この結果でも、1世帯当たりの年間の待機時消費電力量が約400kWhにもなった。電気代に換算すると、おおむね年間1万円相当の電気代になる。これを全国規模に拡大してみると、なんと200億kWhに達する膨大な量になる。
 

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