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温暖化国際交渉、COP16の意義
コラム
中上英俊の『暮らしとエネルギーと温暖化』
米欧より断然少ない暖房用消費
日本の省エネは進んでいる?
文化の違いといえば、調理用エネルギーの消費にもそれが反映されている。グルメの国であるフランスやイタリアは、調理用エネルギーの消費量がそれぞれ4.5GJ、3.3GJであり、英国(2.1GJ)やドイツ(1.5GJ)、北欧諸国と比べると多い。エネルギー消費の多寡は料理の味には関係ないかもしれないが、実は、日本もこれらグルメの国とほぼ同じレベルにある。
一方、家電製品などのエネルギー消費はどうであろう。日本では、家電製品・照明などのエネルギー消費量は15GJである。これに対し、米国は25GJと1.7倍の水準である。これは、家庭用プールの加温などといったものが含まれているからである。わが国では考えもつかない用途だが、それ以外を見ても、米国の家電製品・照明などのエネルギー消費は大きい。
それでは、欧州はどうであろうか? 英国はわが国の70%、フランスは60%、ドイツに至っては50%以下のエネルギー消費水準だ。主要な家電製品の普及率には、それほど大きな違いはなさそうであるが、日本には、これらの国々には見られない機器が普及している点も見逃せない。代表的なものが温水洗浄機能付きトイレ。保温機能付き電気ポットもその一つだ。
今なお、日本の家電製品・照明などのエネルギー消費は増加基調で推移しており、いわゆる“大型化”や“多機能化”が、それを加速させていると言われている。代表的な例として、以前は冷蔵庫がそうであったが、現在はテレビの大型化が挙げられる。
これは多少複雑な経緯となっている。それは、液晶化により、従来のブラウン管型と比べると省エネ化が進んだのだが、それを相殺するように大型化が加速した。ブラウン管型では30インチを超えると大きくて、重たくて、置き場所に苦労するほどだったが、液晶パネルによる薄型化は、一気に40インチ、50インチと大型化しても置き場所にさほど苦労しなくてすむ。これがエネルギー消費量を増やす方向へとシフトしていったわけだ。果たして、日本の家電製品・照明などのエネルギー消費はこのまま増え続けるのだろうか? これも読者のみなさんに考えていただきたい重要なポイントである。
各国のエネルギー価格はどうなっているのだろうか。ここでは購買力平価、すなわち、より生活実感に近いものの価格をベースに比較してみよう。
天然ガス価格は、日本を1.0としたとき、米国は最も安く0.35、次いで英国が0.36、ドイツが0.44、フランスは0.53となっている(いずれも2002年時点での比較、ただし、ドイツのみ2000年の値、電気も同じ)。一方、電気の価格差はもう少し小さい。同じく日本を1.0とした場合、米国は0.56、英国は0.74、フランスは0.81、ドイツは0.88となる。
いずれにせよ、資源の乏しい日本のエネルギー価格は、欧米先進国と比較して割高であることが分かる。次回は、日本とアジア発展途上国との比較をご紹介していきたい。
■資源の乏しい日本は、エネルギー価格が高め
| 日本と欧米先進国の天然ガス・電力の価格比較 | ||||
|
天然ガス (US$/kcal) |
天然ガス (日本を1とした場合) |
電力 (US$/kWh) |
電力 (日本を1とした場合) |
|
| 米国 | 32 | 0.35 | 0.084 | 0.56 |
| 英国 | 34 | 0.36 | 0.111 | 0.74 |
| フランス | 49 | 0.53 | 0.122 | 0.81 |
| ドイツ | 41 | 0.44 | 0.132 | 0.88 |
| イタリア | ― | ― | 0.195 | 1.30 |
| 日本 | 94 | 1.0 | 0.150 | 1.0 |
欧米先進国と比較して、日本では電力・天然ガスともに高めの価格となっているが、なかでも天然ガスの価格が他国と比べて2倍以上になっている(各国の家庭用エネルギー価格を購買力平価により比較 出所:Energy Price&Taxes「1st Quarter2004, USINGPPPs」より住環境計画研究所が作成)
中上英俊 氏 (なかがみ ひでとし)
住環境計画研究所 代表取締役所長 早稲田大学客員教授ほか
1945年岡山県生まれ。1968年横浜国立大学工学部建築学科卒業後、横浜国立大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了、東京大学大学院工学系研究科建築学専門課程博士課程修了。同年、住環境計画研究所を創設し現在に至る。工学博士。
役職としては、日本エネルギー学会理事、ESCO推進協議会副会長。政府機関の委員としては、経済産業省総合資源エネルギー調査会委員として需給部会委員・省エネルギー部会部会長代理・新エネルギー部会委員、環境省中央環境審議会臨時委員として地球環境部会委員・総合政策・地球環境合同部会委員、国土交通省社会資本整備審議会・住宅建築物省エネルギー部会委員ほかを務める。
共著書に『エネルギー新時代─“ホロニック・パス”へ向けて』(省エネルギーセンター)、『地球温暖化問題ハンドブック』(アイピーシー)『地球時代の環境政策』(ぎょうせい)など多数。専門分野はエネルギ−・地球環境問題、地域問題。
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