異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

中上英俊の『暮らしとエネルギーと温暖化』

日本人は使いすぎているのか? [後編]

1970年以前の
エネルギー消費に戻れるか?

2007年5月24日(木)公開
エネルギー消費の増加は「悪」か?

 日本の家庭用エネルギーは業務用エネルギーとあわせて「民生部門エネルギー」と呼ばれている。京都議定書の温室効果ガス削減目標の中にあって、この「民生部門」は自動車等の「運輸部門」とともに1990年以降増加が著しく、目標達成を妨げる元凶のように言われている。

 京都議定書の目標達成のためには、エネルギー消費の総量を減ずることが必須とされている。エネルギー消費量が増加することなどは許されないと指弾されているようだ。しかし、消費量が増加することは本当に「悪」なのだろうか?

 もちろん、無駄な消費は許されない。だが、生活に必要とされるエネルギー消費は許されてしかるべきだろう。中国などの途上国が京都議定書の約束国から除かれているのは、先進諸国と比べて、社会インフラをはじめ生活水準に至るまで圧倒的な遅れがあるからだ。途上国が先進国にキャッチアップするには、これから大量のエネルギーが投入される必要があるのだ。

 日本の家庭におけるエネルギー消費は、先進諸国の中にあっては一段低い水準にあることがやっと知られるようになってきた。ただし、世帯当たりのエネルギー消費は、一貫して増加基調で推移してきた。これに対し欧米先進諸国のそれは、ほぼ横ばい、ないしは減少傾向にある。

 増加傾向で推移するのは途上国に多く見られ、韓国や台湾を除くアジア諸国の家庭用エネルギー消費は、日本以上に年々増加傾向を強めている。日本の世帯当たりのエネルギー消費は、90年代半ば以降は収まりつつある傾向を示し始めたが、世帯数はいまだに増加傾向にあるため、両者の積となる家庭用エネルギー総消費量は依然として増加基調にあるのだ。

■世帯数の増加が家庭からのCO2排出量増加の主因に

世帯数の増加が家庭からのCO<sub>2</sub>排出量増加の主因に

日本での世帯当たりエネルギー消費原単位と家庭部門エネルギー消費量の推移

 1990年から2005年に至る15年間の家庭部門エネルギー消費量の増加は40%強となっている。その内訳は世帯数の増加がおおよそ6割、世帯当たりのエネルギー消費原単位の増加が4割である。これを最近10年間で見ると、前者は15%の増加だが後者のエネルギー消費原単位はほぼ横ばいとなっている。

 世帯数の増加は過去20年以上、年率1.3%程度で安定的に推移していることから、2010年に至るまでは、この水準で増加を続けるものと考えられる。つまり、このままの傾向で世帯数が増加すると、2010年における世帯数は90年比で30%も増加することになる。世帯数の増加は政策的に変更できるものではないため、家庭部門におけるエネルギー総消費量を減少させるには、世帯当たりのエネルギー消費を大幅に削減しなければならないことになる。

 以上はエネルギー消費から見た推移だが、温室効果ガスである二酸化炭素で見るとどのようになっているのだろうか?

 1990年における世帯当たりのCO2排出量は3200kg−CO2/世帯・年であったが、2005年では、3985kg−CO2/世帯・年へと24%の増加となっている。エネルギー消費原単位では1990年の4万1156MJ/世帯・年から2005年の4万8404MJ/世帯・年へと18%の増加であったがCO2ではさらにそれを6ポイント上回っていることになる。

■家庭からのCO2排出量の増加がエネルギー使用量の増加を上回る

家庭からのCO<sub>2</sub>排出量の増加がエネルギー使用量の増加を上回る

世帯当たりCO2排出原単位と家庭部門CO2排出量の推移。エネルギー使用量の伸びを上回る増加を見せている

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