異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

御園生誠の『キーテクノロジー』

世界に先駆けた日本のグリーン化学プロセス[後編]

グリーン製品を拡大し
温暖化・資源問題に挑むGSC

2009年6月18日(木)公開
GSC実現のカギはリスク評価と技術革新

 「何が本当にグリーンなのか?」、「何が本当に環境に良いのか?」の問いに正しい解答を与えることは、大変難しい。そのことが、危ないエコ広告が氾濫する理由になっている。たとえば、都合の良い条件を使った評価の結果のみを示すとか、定量的なデータなしで効果を吹聴するといった類の広告である。また、局所的には「グリーン」でも、全体としてグリーンではなく、「レッド」や「ブラック」になる製品やプロセスも多いのでこの点についても注意が必要だ。判定が難しいこと、誤った言説が多いことを知ることは、正しい認識の第一歩である。

 グリーン・サスティナブル・ケミストリー(GSC)を実現するためには、以上のことを理解したうえで、製造プロセスや製品のライフサイクルアセスメント(LCA)を行い、環境負荷低減や良い意味での快適な生活への貢献を定量的に評価することが不可欠となる。

 これまでのグリーンケミストリー(GC)は、有機合成反応の研究が中心で、それも、合成反応のステップだけに注目した例が多いことが懸念される。なぜなら、実際の化学品合成プロセスでは、合成した後の大量の反応液から目的とする生成物を分離・精製するステップが重要で、多くの場合、その段階で合成時以上のエネルギーや溶媒が消費され廃棄物も発生するのである。さらに製品になってからの環境負荷も考えなければならない。つまり、GCやGSCにとって、合成段階だけで局所的に評価するのではなく、全ライフサイクルのアセスメントを行ってから、総合的にその製法や製品の是非を判断することが大事である。

 米国のGCは、純粋化学的な視点が強いが、日本ではGSCとして技術面を重視している。そのため、GCとGSCとでは、基本的な考え方は共通だが、グリーン度の判断基準はやや異なっている。

 化学の世界最大手である独BASF社では、環境負荷と経済性をともに考慮したエコ効率の評価を行っている。まずは原材料、プロセス、製品を選ぶ際に、環境負荷に関して5つの項目で評価し(上図)、さらに経済性の評価を加えた二次元のプロットを作成して(下図)、そのプロットと現実的な条件を勘案して、どの製法、製品を選択するかの経営判断を行っているという。これはGSCの考え方に近い。

■化学世界最大手の取り組み(エコ効率)

エコ効率における環境負荷項目と重み付け/インジゴ(染料)合成における環境負荷と経済性

BASF社では、環境負荷について5項目を設定し、図中に示した重み付けを行って環境負荷を単一指標にまとめている(上図)。さらに、その環境負荷に経済性の評価を加えたプロット(下図)を作成して経営判断を行う(出所:BASF社ホームページを基に作成)
 

 下図は、インジゴ(アイ色の染料)のプロセス評価だが、縦軸は環境負荷で上図の5項目を統合したものであり、上に行くほど環境負荷が小さくなる。横軸は経済性(コスト)で、右に行くほど経済性が高い。したがって、両方の条件を考慮したエコ効率は、右上ほど高く、左下ほど低いことになる。

 この例では、「電気化学法」が最もエコ効率が高いインジゴ合成法になる。だが実際には、技術開発のレベルを踏まえ、次善の技術である「溶液法」が選択されたという。この例では、最も左下にある、天然の植物からインジゴを抽出する方法が、縦軸、横軸とも数値が高く、最もエコ効率が悪い方法になっていることは興味深い。
 

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この記事の目次
世界に先駆けた日本のグリーン化学プロセス[後編]
グリーン製品を拡大し
温暖化・資源問題に挑むGSC

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CSR対策 温暖化防止費用