異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

御園生誠の『キーテクノロジー』

次世代エネルギー技術の主役は何か?[後編]

リサイクルの落とし穴
エネルギー収支検証のススメ

フードマイレージの落とし穴

 食料とエネルギーの関係でいえば、食料輸送による環境負荷低減をめざす目的で、「フードマイレージ」という指標が注目されている。これは、われわれが消費する食料の量に輸送距離を乗じ、t・km(トン・キロメートル)の単位で表す。

 日本のように、海外から食料を大量に輸入する国のフードマイレージは大きくなり、フランスのように、食料輸入量の少ない国は小さくなる。2001年の農林水産省のデータでは、日本のフードマイレージの総量は約9000億t・kmで圧倒的に1位である。また、人口1人あたりの量でも、日本が7100t・km、2位の韓国が約6500t・km、3位の英国が約3000t・kmで、総量、人口比の量とも世界一である。

 これらの数値から、日本はエネルギーを無駄遣いしているので、なるべく農産物は「地産地消」にすべきとの論があるが、食品に関わるエネルギー削減を考える際、生産時のエネルギー消費は無視できない。季節はずれのトマトやキュウリなど野菜や果物のハウス栽培では、輸送に消費するよりも、はるかに多くの化石エネルギーを消費している。

 したがって、日本の主業農家約50万戸(所得のうち農業所得が50%以上)を支えているこれらの農産物に対して「地産地消」をすすめると、かえって化石エネルギーを消費し、二酸化炭素(CO2)の排出量が増大することになる。エネルギーの節約という側面だけからみれば、旬の食べ物を選ぶのがよい。各食品について、生産から店頭に並ぶまでの消費エネルギー総量を表示すれば、消費者がエネルギー節約を考えるうえで参考になるだろう。

 最近、日本の食料自給率の議論が盛んだが、カロリーベースでは40%を切ったが、生産額ベースでは70%近くあり、主要国のなかでも上位の自給率である。これは、主業農家を支える野菜・果物は価格が高いがカロリーはそう大きくないためである。食料自給率には、「農業の競争力」と「食料の安全保障」の二つの論点があるが、日本の農業の制度と実態を正しく把握し、国際的な比較をしたうえで、多角的に議論をしないと危ない。たとえば、地域の格差のみならず、膨大な休耕田や放棄農地があること、主業農家約50万戸に対し、それ以外の土地持ち非農家や片手間農家が200万戸以上あることを踏まえる必要がある。
 

御園生誠氏御園生 誠 氏 (みそのう まこと)
独立行政法人 製品評価技術基盤機構 理事長

専門は触媒化学・化学環境学。グリーンケミストリーの立場から合理的な環境問題対策を説く。

1966年、東京大学大学院工学系研究科博士課程単位取得退学。1983年、東京大学工学部合成化学科教授、1999年、工学院大学工学部環境化学工学科教授。日本化学会会長、触媒学会会長、日本学術会議会員などを歴任。2005年より現職。

著書には『持続可能社会へ向けた温暖化と資源問題の現実的解法』(丸善、2008)、『化学環境学』(裳華房、2007)など多数。

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この記事の目次
次世代エネルギー技術の主役は何か?[後編]
リサイクルの落とし穴
エネルギー収支検証のススメ

CO2削減技術 省エネルギー

エネルギー消費 交通・運輸/家庭部門

エネルギー政策 日本/欧州