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温暖化国際交渉、COP16の意義
コラム
伊藤洋一の『BRICsの衝撃』
“内部矛盾”が頻発させる学校襲撃
こうしたことを背景に、「小学校、幼稚園の襲撃が多いのは、所得格差拡大の結果、貧しい人々の恨みが噴出し、それが弱い子供達に向かっている」との見方が中国でも徐々に強まっているようだ。実質的に義務教育が有料の中国では、経費を払えない貧しい家庭の子供は学校に行けない。「行っても追い払われている」という話も聞いた。彼らも授業を受けられるなら、誰も雑費を払わなくなるからだ。これとは逆に、学校が運営費を稼ぐために子供を下請け生産に使役しているケースもあるという。学校が子供を使って花火生産をしていたら、爆発事故があって子供が数多く負傷したことも実際にあった。中国の義務教育とは、そもそも日本の義務教育とは大きく違うのだ。特に都市にいる農民工(出稼ぎ農民、農村戸籍)は、都市戸籍がないために子供を出稼ぎ先の都市の公立学校に通わせることができない。学齢に達すると彼らは祖父母の家に子供を送り返していた。一方で、富裕層の子供達は、立派な私立学校に通う。送り迎えで高級車が、学校や幼稚園に横付けされるケースも多いという。
一連の襲撃事件を起こした犯人にほぼ共通するのは、いずれも社会の富裕層ではない者達であったという点だ。様々な不満を鬱積させていたとされる。「子供をなんとしても大学まで行かせて出世させたい」と思っている親が多い中国で、そもそも子供に義務教育を受けさせられない人々の絶望は深いだろう。一方で、豊かになった人々は、外国人が英語を直接教えてくれるような私立学校に子供達を通わせている。格差社会は中国社会の病巣の1つに確実になりつつあるのだ。その1つの表象が、中国における小学校や幼稚園の襲撃事件続発となったものと考えられる。
中国政府もそれを知っているから「和諧(わかい)社会」を唱え、貧しい農村地帯でもすべての子供が義務教育を受けられるような方策を探っている。しかし財政基盤は弱く、その一方で戸籍の問題も解決していない。四川大地震で分かったことは、小学校の校舎さえまともに作られていなかったと言うことだ。こうした中でさらに物価の上昇、特に不動産価格の高騰が、貧困層の生活をいっそう苦しくしている。これでは、多くの人が持続的に穏やかに生活できる「和諧社会」が実現できる環境はない。経済的な生活基盤が動揺した途端に、極端な行動に出る人間が現われないという保証はなく、その「極端な行動」の矛先の一部が小学校や幼稚園に向いているとも考えられる。「繁栄の陰で病んでいる」という中国の姿が浮かび上がってくる。
さて次回は、こうした一連の事件のそもそもの背景とされる「中国社会の砂状化とその意味合い」を取り上げ、さらにその後には「中国の体制変更の可能性とその後の展望」を取り上げたい。
伊藤 洋一 氏 (いとう よういち)
1950年長野県生まれ。現在、住信基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。筆者HPは http://www.ycaster.com/
幻 冬舎の月刊誌『ゲーテ』、共同通信社、『日経ビジネス』などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。著書に最新刊として『ITとカースト:インド・成長の 秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える』(新潮新書2006年)。その他『上品で美しい国家』(ビジネス社 2006年)、『スピードの経済』(日本経済新聞社 1997年)、『ビッグバン時代のネット活用術』(東洋経済新報社 1998年)、『グリーンスパンは神様か』(TBSブリタニカ 2001年)。訳書に『グリーンスパンの魔術』(日本経済新聞社 2000年)『欧州の挑戦』(時事通信社 1992年)など。
現 在出演中の番組は、テレビ朝日「やじうまプラス×2」(毎週木曜日朝6時)、関西テレビ「ニュース・アンカー」(毎週火曜日、番組は午後5時から)、テレ ビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」(土曜日、月1回程度)、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(毎週金曜日朝7時台)、ラジオNIKKEIの 「Roundup World Now」、「Asia today」、「マーケット・トレンド」など。
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松本龍・環境大臣(11/02/10) NEW | ![]() |
環境省 地球環境審議官 南川秀樹氏(10/09/16) |
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経済産業省 大臣官房審議官 有馬純氏(10/08/16) |
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ピュー気候変動センター 国際戦略部長 エリオット・ディリンジャー氏(10/03/25) |
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経済産業副大臣 増子輝彦氏(10/01/25) |
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ブレークスルー研究所 マイケル・シェレンバーガー所長 テッド・ノードハウス会長(09/12/21) |


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