異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

不揃いな多極化の中での国際交渉
必要な個別でグローバルな対応

2010年2月4日(木)公開
進める国から進み、範を垂れる

 各国が多様な強味と弱味を持つが故に“不揃(ぞろ)いに多極化”した世界で、温室効果ガス削減など各国の利害が激しく対立するグローバルな問題をどうやって解決していけば良いのか。先進国中心の主要7カ国(G7)が世界を動かしていた時代ならまだしも、“途上国”を自任する中国やインドが大きな極になっている世界では、利害がからむ合意形成は極めて難しい。昨年末のコペンハーゲンにおける国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が目立った進展もなく終わったのは、その象徴とも言える。

 第1は、前に進める国から進み、範を垂れることだろう。COP15の参加国は閉会時点で2010年1月末までに削減目標を国連に通知することになっていた。その結果はこの原稿執筆時点で明らかになっているが、目標を提出した55カ国の中で一番目を引いたのはインド洋の島しょ国であるモルディブのそれだ。なんと目標を「100%削減」に置くと国連に通知してきたのだ。むろん同国は地球温暖化の影響で全土が水没の危機に直面しているという特殊事情がある。やむにやまれぬ選択だろうし、「100%削減」をどうやって実現するのかの方策は直ちには不明だ。しかし、「100%削減」とは世界を驚かせた。

 同国自らが「最も野心的な削減目標」と強調して打ち出さざるをなかった目標の背景には、「上昇する海水位に将来本当に国が埋まってしまうかもしれない」という客観的な状況がある。しかし同国はそれが地球全体の問題だと訴える。ナシード大統領は、「気候変動はわれわれすべての脅威だ。今、行動しなければ、熱帯雨林やサンゴ礁を失うだけでなく、人類の文明そのものを失う恐れがある」と警告している。この捨て身の目標設定が世界の人々の心を揺さぶらないはずがない。

 他の54カ国、特に主要国が国連に提出した目標は、COP15までに各国が発表していたものとほとんど変わっていない。コペンハーゲンでの討議の成果が出ているとは言い難いし、目標値を提出したのが「55国にとどまった」というのも筆者には少ないと思える。国連によれば、「この55カ国の温室効果ガスの総排出量は世界の78%に相当する」という。しかしもっと多くの国がコペンハーゲンでのCOP15には参加していたのだから、本来なら100%に近いカバー率とならなければならないはずだ。ある意味情けない。
 

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この記事の目次
不揃いな多極化の中での国際交渉
必要な個別でグローバルな対応

エネルギー技術 日本/米国/欧州/BRICs

エネルギー政策 本/米国/欧州/BRICs

国際交渉 COP

国際協力 途上国支援