異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

進む“不揃い”な多極化
世界の意志統一に高いハードル

2010年1月21日(木)公開
先進国の足下見た交渉をした中国

  前回 のエッセイの最後に『この「強い需要を持つBRICsなど途上国」の登場は、世界経済や環境問題に大きなインパクトを持つ』と書いた。その兆候は年明け後一段と鮮明になっている。しかしその一方で、米国や欧州、それに日本は成長力こそ鈍ったとはいえ、ストックベースでは強い経済力を持つから、依然として環境問題解決に向けた努力でもでも大きな存在だ。日本や米国のたった1%の経済成長でも、並の途上国の年率10%以上の富の創出に相当する。もともと経済規模が大きいからだ。しかし成長力では明らかに途上国が上だ。

 ということは、端的に言えば世界、または世界経済は“多極化した”ということだ。リーマン・ショック後の世界経済の大きな変動、それに伴うパワーバランスの変化の中で、世界には従来に増して“極”が数多くできた。中国は明らかにその一つだし、インドもそうだ。ブラジルも存在感を増している。先進国は中国(今年世界第2位の経済大国になる)など途上国の意志を無視して世界経済運営、さらには環境保全に向けた努力を進められない。

 昨年末のコペンハーゲンにおける国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)はそのことを明確に示した。いろいろな見方ができるだろうが、会議は紛糾の末、「やっと面目を保つに足る合意」(会議筋)を作り上げたに過ぎない。会議で目立ったのは、中国のかたくなな姿勢だ。後で中国国内でも問題になったらしいが、世界のマスコミの前に登場した中国の主席代表(COP15の)は、中国が依然として途上国の仲間であること、今までの二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス排出の責任はもっぱら先進国にあると、COP15の場で身振り手振りたっぷりに演説していた。もう少し落ち着いてしゃべった方が説得力があるのにと思ったくらいだ。会議は多極化したが故に、その舞台裏では相当複雑なやりとりが行われたようだ。

 筆者が一つ問題だと思ったのは、中国などの主張が一方的であり、今後の世界のあり方から望ましくないと分かっていても、「拡大する大市場を抱える中国」にどの国も遠慮している空気が見られたことだ。日本もそうだが、(中国などの)外需を取り込まねば今までのような、そして政治家が国民を満足させられるような成長を達成することが難しい中にあっては、「中国には嫌われたくない」という抑制がかなり強く効いていたように思う。だからこそ、グーグルが自社のインフラに対するサイバー攻撃の疑いもあって「中国からの撤退」も視野に入った意志を表明したとき、世界中から快哉(かいさい)が叫ばれたのだ。

 しかしこれは恐らく一企業だからこそできたことだろうし、情報産業という特殊な業界における巨人だからできたのだ。何か具体的なものを売っている企業では、これからの大市場である中国を敵に回すことはなかなか容易ではない。それは世界最大の経済国である米国にも言える。中国はそれが分かっているから、先進国の足下を見るような交渉術を展開し、まるで自国がCOP15の会議全体をリードしているように振る舞った。
 

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この記事の目次
進む“不揃い”な多極化
世界の意志統一に高いハードル

エネルギー政策 日本/米国/欧州/BRICs

国際交渉 サミット/COP