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温暖化国際交渉、COP16の意義
コラム
伊藤洋一の『BRICsの衝撃』
COP15前に大きな前進
米中そろっての目標値公表
米国の「2005年比17%削減」という目標は、日本や欧州が掲げている目標に比べていかにも緩い。しかし米国に直ちにこれ以上の削減目標設定を求められない事情もある。それは国内政治だ。せっかく政権が国際的公約をしても、それが議会の承認を経て国内法にならなければ意味がない。第一次世界大戦後のウイルソンの国際連盟構想敗退のようなものだ。今回、オバマ大統領が固めた温室効果ガスの削減目標は、現在、米議会で審議中の法案にほぼ沿った内容となっている。米国の削減幅は小さいが、米国は現行の京都議定書を議会で批准できなかった経緯もあり、議会と歩調を合わせる必要があったとみられる。米国内では既にオバマ大統領がCO2削減目標を発表したことに対して、「国内の経済成長を犠牲にするものだ」というデモも起きている。これからは国際世論が米国内の世論を変える努力も必要だ。
中国の削減目標はもっと問題が大きい。それは第一に、「今回の目標値は、中国の世界に対する約束ではない」と最初から煙幕を張っていること。担当者の記者会見での発言は、「国内における自主目標である」としている。もっと重要なのは削減の対象としているのが、「GDPを一定額生み出すために排出する二酸化炭素(CO2)の量」だということだ。すなわち中国の新目標は、温室効果ガス排出量の絶対量を減らすのを目的としているのではなく、単位GDP当たりの削減目標であって、最初から、「GDPが伸びるのなら、CO2の排出量が増えることを許容する」点にある。つまり今後の経済成長を制約しないように配慮したもので、2009年以降の名目GDPが年5%以上増加すると仮定した場合(中国の今の成長率は8%前後で5%はかなり低めの予想だ)、今回の排出抑制目標を達成してもCO2排出の絶対量は2020年に2005年比で6割以上増える計算になる。「これでは削減目標とは言えない」という意見があるのは当然だ。
COP15は既に、京都のように法的拘束力の強い「議定書」の策定をあきらめ、将来につながるような政治的な、各国が拘束力を感じざるを得ないような合意を目指している。その意味では、会議は最初から一歩下がったところからスタートする。しかし行われないよりは、会議の開催そのものが世界的な温暖化防止に向けては大きな一歩だ。基準年の統一、世界全体でのCO2排出量の削減で各国に何ができるか、各国別の目標値の設定と、それへの国際的な強制力付与の問題などが山積している。容易な道ではない。しかし、米中の目標値設定で、やっと世界は今までの停滞から抜け出したと言える。
伊藤 洋一 氏 (いとう よういち)
1950年長野県生まれ。現在、住信基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。筆者HPは http://www.ycaster.com/
幻 冬舎の月刊誌『ゲーテ』、共同通信社、『日経ビジネス』などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。著書に最新刊として『ITとカースト:インド・成長の 秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える』(新潮新書2006年)。その他『上品で美しい国家』(ビジネス社 2006年)、『スピードの経済』(日本経済新聞社 1997年)、『ビッグバン時代のネット活用術』(東洋経済新報社 1998年)、『グリーンスパンは神様か』(TBSブリタニカ 2001年)。訳書に『グリーンスパンの魔術』(日本経済新聞社 2000年)『欧州の挑戦』(時事通信社 1992年)など。
現 在出演中の番組は、テレビ朝日「やじうまプラス×2」(毎週木曜日朝6時)、関西テレビ「ニュース・アンカー」(毎週火曜日、番組は午後5時から)、テレ ビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」(土曜日、月1回程度)、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(毎週金曜日朝7時台)、ラジオNIKKEIの 「Roundup World Now」、「Asia today」、「マーケット・トレンド」など。
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松本龍・環境大臣(11/02/10) NEW | ![]() |
環境省 地球環境審議官 南川秀樹氏(10/09/16) |
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経済産業省 大臣官房審議官 有馬純氏(10/08/16) |
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ピュー気候変動センター 国際戦略部長 エリオット・ディリンジャー氏(10/03/25) |
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経済産業副大臣 増子輝彦氏(10/01/25) |
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ブレークスルー研究所 マイケル・シェレンバーガー所長 テッド・ノードハウス会長(09/12/21) |


米中そろっての目標値公表
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