


COP15、温暖化交渉を読む
コラム
伊藤洋一の『BRICsの衝撃』
「戦略的接近」の道を選んだ米中
オバマ訪中の成果を考える
ブータンに関するまとまった文章を5回にわたって書いている間に、温暖化防止を巡る世界の動きには「前進」を予感させるものがあった。この原稿を書いている時点(2009年11月18日)で中国を訪問しているオバマ大統領が、胡錦濤・中国国家主席との会談で、「米中は2大CO2排出国として、COP15(国連気候変動枠組み条約第15回締結国会議)の合意形成を後押しする」という内容の合意に達したことだ。中身はまだ詰まっていない面もあるが、少なくとも世界は、先進国と途上国が温室効果ガス(GHG)削減という大きな目標に向かって動き出すことができる状況に立ち至ったことになる。
ブッシュ政権下の米国と中国は、温暖化防止を巡っては「睨(にら)み合う関係」だった。米国は、「巨大CO2排出国になった中国に削減義務を課されないような合意なら不公平で実効性がない」と京都議定書から離脱してしまったし、一方の中国は、「今の地球温暖化は米国など先進国が招いたものであり、温暖化防止の一義的な責任は先進国にある」と主張して歩み寄りの兆しはなかった。
しかし、米国にオバマ政権が生まれるという環境のなかで、温暖化防止を巡る世界の環境は大きく変わってきている。米国はブッシュ政権下でも各州、各地域レベルで温暖化防止の動きはかなり進展していた。だからこそ米国は、世界最大の風力発電国にもなっているのだが、政権レベルで温暖化防止に対する考え方が変わったことで大きな潮流の変化が出てきた。二酸化炭素(CO2)排出で規制を受ける企業にしても、今までのように州ごとの規制では全米に散らばる工場間で異なった基準を設けねばならず、むしろ、「やるなら、全国レベルの統一した規制を明確にしてほしい」という声が高まりつつあった。オバマ政権としてはそうした国内圧力ゆえに、国際的な合意作りを急がざるをえなくなっていたのである。加えて、温暖化防止を求める世論の力もある。


オバマ訪中の成果を考える

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