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温暖化国際交渉、COP16の意義
コラム
伊藤洋一の『BRICsの衝撃』
「戦略的接近」の道を選んだ米中
オバマ訪中の成果を考える
既にCOP15では、京都議定書のような法的拘束力のある議定書作成は無理な状況になっており、デンマーク政府は議定書の骨格を首脳レベルの合意で担保する“政治合意”を目指している。その政治合意成立の前提は、米国を含む先進国の中期的削減目標が出そろうことだと思われているので、オバマ大統領の今回の示唆は重要だ。
「中国など新興国も含む途上国の削減策」は、「目標」という単語を使っていないが、胡錦濤主席は既に9月の国連気候変動サミットの演説で、2020年までの対GDP(国内総生産)の排出量に関して「大幅な削減に努める」と明言しており、国内での調査・検討がすめば“目標値”を公表する可能性も示唆した。しかし、途上国のなかにはインドのように、「新議定書でも、京都議定書と同様に途上国は一切の削減義務を負わないようにすべきだ」という意見もある。現時点ではとても途上国全体に「目標」を課せるような状況ではない。
不確定要素はまだある。日本や欧州は削減目標の設定、それに伴って国内で発生する難しい問題も、「新しい時代を作る必要がある」との考え方から、国民の間で支持が高い。しかし、先進国のなかでも米国には、まだその種の世論の醸成は進んでいない。ブッシュ政権下よりも世論は大きく動いてきたが、各業界の思惑も様々で議会の勢力図も複雑だ。健康保険制度改革の議論の余波もあると予想される。
しかし、世界で突出してCO2排出量が多い米国と中国が、お互いの思惑もありながらも「COP15に向けた協調」で合意できたことは、貿易摩擦、チベット・ウルムチなど地域・人権など難しい問題を先送りした感が強い今回の米中合意のなかでも、大きな前進と受け止めることができる。
米中の今回の接近は「戦略的接近」と呼べるかもしれない。地球温暖化への取り組み姿勢は、既に世界での指導力のメルクマールとなっている。世界で「G2」とまで呼ばれる国となった両国としては、いつまでも「温暖化防止に消極的な2大国」として分類されるのは許されない状況になったといえる。「GHGの90年比25%削減」という鳩山プランには国内からも実効性を疑問視する見方もあるが、世論の支持は高い。前提は「国際的枠組みができれば」ということだが、米中がこの問題で歩み寄ったことで鳩山プランは口約束でなくなる可能性が高まっている。これを機に、日本で具体的にどうするかの議論を深めるべきだろう。
伊藤 洋一 氏 (いとう よういち)
1950年長野県生まれ。現在、住信基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。筆者HPは http://www.ycaster.com/
幻 冬舎の月刊誌『ゲーテ』、共同通信社、『日経ビジネス』などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。著書に最新刊として『ITとカースト:インド・成長の 秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える』(新潮新書2006年)。その他『上品で美しい国家』(ビジネス社 2006年)、『スピードの経済』(日本経済新聞社 1997年)、『ビッグバン時代のネット活用術』(東洋経済新報社 1998年)、『グリーンスパンは神様か』(TBSブリタニカ 2001年)。訳書に『グリーンスパンの魔術』(日本経済新聞社 2000年)『欧州の挑戦』(時事通信社 1992年)など。
現 在出演中の番組は、テレビ朝日「やじうまプラス×2」(毎週木曜日朝6時)、関西テレビ「ニュース・アンカー」(毎週火曜日、番組は午後5時から)、テレ ビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」(土曜日、月1回程度)、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(毎週金曜日朝7時台)、ラジオNIKKEIの 「Roundup World Now」、「Asia today」、「マーケット・トレンド」など。
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松本龍・環境大臣(11/02/10) NEW | ![]() |
環境省 地球環境審議官 南川秀樹氏(10/09/16) |
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経済産業省 大臣官房審議官 有馬純氏(10/08/16) |
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ピュー気候変動センター 国際戦略部長 エリオット・ディリンジャー氏(10/03/25) |
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経済産業副大臣 増子輝彦氏(10/01/25) |
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ブレークスルー研究所 マイケル・シェレンバーガー所長 テッド・ノードハウス会長(09/12/21) |


オバマ訪中の成果を考える
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