異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

ブータンは理想郷か?
依存体質と画一性に問題

2009年11月5日(木)公開
現実の理想郷ではない

 これまで4回に渡って「“国民総幸福量”(GNH)をベースに置いて経済や社会、それにかかわる政策を考える」というブータンの斬新なアイデアを取り上げてきた。今の世界を見ると、国民総生産(GNP)を国の経済の強さを計測する唯一の指標にする考え方が、あちこちで行き詰まりを呈(てい)していることは明確である。リーマン・ブラザーズの破綻以降の世界経済は、GNP的な発想からすれば一段とゆがみを大きくした。

 経済や社会を考える上では、「生産の量ではない別の指標が欲しい」というのは、世界各国の今の潮流とも合致している。たとえば鳩山新政権は、「人に優しい」が政権の一つのスローガンだが、それは今までの自由民主党的なGNP重視にやや偏った政策へのアンチテーゼである。だからこそ、前回指摘したフランスのように、このGNHというアイデアを積極的に取り入れようとトライする国も出てきている。

シロと茶色が鮮明なブータンの寺院
シロと茶色が鮮明なブータンの寺院

 「では、実際にはブータンとはどういう国か」という(私の)印象を伝えるのが、今回の記事の目的である。ブータンに行く前からGNHのアイデアは知っていたし、それはなかなか興味深いものであると思いながらも、「理想はしばしば現実の反対に位置するものである」「現実があまり良くないから、理想が高くなっているのではないか」という見方もしていた。つまり疑心暗鬼でブータンに入ったのである。

 短い滞在だったが、ブータンが決して現実の理想郷でないことは明白だった。最近ブータンで入手した私が読める英語の新聞を読み直してもいるが、65万人の小さな国であっても殺人を含めて犯罪はあるし、権力の不正や陰謀もある。一方、街の商店には日本と比べるのは無理とわかっていても十分な商品は並んでいない。農村の過疎化の問題はあるし、その裏側には都市の膨張があり、それ故に水道などインフラは様々な問題を抱えている。たとえば我々が泊まったホテルは、ブータンではまずまずのホテルだったと思うが、浴槽にお湯をためようとすると茶色くなる。しばらく放っておいて浴槽を見ると、いろいろなものが沈殿している。結局シャワーを手短にするしかない。典型的な途上国だ。私は特に気にしないが、これに耐えられない先進国の人はいるだろう。
 

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この記事の目次
ブータンは理想郷か?
依存体質と画一性に問題

エネルギー政策 BRICs

国際協力 途上国支援