


COP15、温暖化交渉を読む
コラム
伊藤洋一の『BRICsの衝撃』
ブータンに学び始めた国も
先進国で広がるGNHの思想
これまで3回にわたってブータンという国、そしてその国が独自に育んでいるGNH(国民総幸福量)という考え方を紹介してきた。もっぱらブータン国内の動きの紹介だった。今までの主流だった「GDP(国内総生産)の伸び重視の成長」一辺倒の考え方が世界で環境を破壊してきたことを考えれば、このGNH重視の考え方が世界に波及するとすれば、世界の環境や環境保護の動きにも大きな影響を与えるだろう。そしてその影響の大部分は、環境にとってはプラスになるはずだ。
この“GNH”という考え方は、先進国に住む我々にとっても非常に魅力的なことは、少し自分に聞いてみればわかる。読者の方々もそうだと思う。少なくとも興味は持てる。具体的にGNHなるものをどう計測するのか、そしてその引き上げをどう図るのかは別にして、GNP(生産)よりもGNH(幸福量)をしっかり視座に入れて経済運営し、実際にそれがうまくできれば今よりも環境保全の面でもましな世の中ができるかもしれないとも思う。
なぜなら、「モノが豊かになっても心は貧しいまま」とか、「GNP、またはその伸び率重視の経済政策が行われている世界の先進国で、むしろ貧困が増加している」という事実は、否定しがたいからだ。ところが、日本の政治家で、「GNP重視の考え方はもう古い」「GNH重視でいこう」と声高に主張する人は私の知る限りまだいない。「考え方としてGNHは良いが、ではそれを経済政策としてどう実施するのか」「それによって物理的に貧しくなるのではないか」「失業はなくなるのだろうか」という不安感があるためだ。そういう筆者も、「GNH的な経済政策で国がうまく回るだろうか」という不安はある。「幸福」はあまりにも個々人で違うものだからだ。
しかし 前回 のコラムで紹介したように、「幸福を9要素」に分解してみると、「これは指標化できるかもしれない」と思うものもある。改めて9要素を並べてみると、
- Living standard(基本的な生活)
- Cultural diversity(文化の多様性)
- Emotional well being(感情の豊かさ)
- Health(健康)
- Education(教育)
- Time use(時間の使い方)
- Eco-system(自然環境)
- Community vitality(コミュニティーの活力)
- Good governance(良い統治)


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