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温暖化国際交渉、COP16の意義
コラム
伊藤洋一の『BRICsの衝撃』
GNHがブータンで生まれた背景
気候風土、隣国の存在、そして宗教
そのチベットを源流とするブータン仏教の基本的考え方の一つが「輪廻転生」だ。インドやその周辺で生まれた宗教であるヒンズー教、仏教の両方に根深くこの考え方がある。要するに「生まれ変わり」の考え方。死んであの世に還った霊魂(魂)が、この世に何度も生まれ変わってくると信じる。今の自分もその生まれ変わりの一部だと。この考え方をする人には、過去の自分がいて、もっと重要なことは「次世代の自分」「その次の自分」がいる。永遠に生まれ変わるわけだから。
日本人はしばしば、自分を納得させたい時に「人生は一回きりだ」「一度きりだ」と言う。日常会話にもしばしば登場するし、テレビを観ていても何かを楽しむ、トライする前提的な考え方として人々はこれを口にする。しかし「輪廻転生」を信じる人はこんなことは言わない。人生は一回ではない。今の行いが次(将来)の自分を決めると考える。自然と信心深くなる。
これはインドに何回も行くなかで強く思ったのだが、「輪廻転生」の考え方は、支配者、統治者、支配階級にとって結果的にきわめて便利な考え方だ。今貧しい、身分の低い人間、民衆の一人であっても、祈り、そして今の与えられた仕事を懸命にやれば、「輪廻転生」したときには望む存在(人間であったり、その中でも身分の高い人間)になれると説く。現状に文句を言わずに、今の身分に甘んじ、そして懸命に尽くせという考え方。つまり階級の固定化効果がある。「今」に反抗しないわけだから。ブータンも階級社会だそうだ。
それは置くとして、ブータンにはもう一つ重要な要素がある。それは稲村さんから聞いた話だ。それは「ブータンにとってはネパールが反面教師」という側面。ブータンにはネパール系の人が多い。そのネパールは、各国から来る援助のほとんどが役人の懐に入ってしまうなど賄賂(わいろ)が横行し、貧富の差は大きく、政情は不安定で内戦もある。「そんな国にしたくない」とブータンでは国王を初めとして多くの人が考えている、というのだ。
激しい大陸移動の跡が残した皺の間にあるという厳しい自然環境、「輪廻転生」を信じる宗教の国、そして近くにありながら「ああなりたくない」とブータンの人々が考えたネパールの存在。これは筆者の独断だが、こうした環境があったからこそブータンには「GNH(国民総幸福量)の考え方」が生まれたのではないか。
あと3回ほどブータンの話題にお付き合い願いたい。ブータンは開発途上国としては小さいが、アイデアは大きい。地球が直面している環境問題を考えるヒントを提供している。実は既に有力先進国の一角がブータンのアイデアを取り入れる方針を固めた。それは次の次に触れる。
伊藤 洋一 氏 (いとう よういち)
1950年長野県生まれ。現在、住信基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。筆者HPは http://www.ycaster.com/
幻 冬舎の月刊誌『ゲーテ』、共同通信社、『日経ビジネス』などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。著書に最新刊として『ITとカースト:インド・成長の 秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える』(新潮新書2006年)。その他『上品で美しい国家』(ビジネス社 2006年)、『スピードの経済』(日本経済新聞社 1997年)、『ビッグバン時代のネット活用術』(東洋経済新報社 1998年)、『グリーンスパンは神様か』(TBSブリタニカ 2001年)。訳書に『グリーンスパンの魔術』(日本経済新聞社 2000年)『欧州の挑戦』(時事通信社 1992年)など。
現 在出演中の番組は、テレビ朝日「やじうまプラス×2」(毎週木曜日朝6時)、関西テレビ「ニュース・アンカー」(毎週火曜日、番組は午後5時から)、テレ ビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」(土曜日、月1回程度)、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(毎週金曜日朝7時台)、ラジオNIKKEIの 「Roundup World Now」、「Asia today」、「マーケット・トレンド」など。
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松本龍・環境大臣(11/02/10) NEW | ![]() |
環境省 地球環境審議官 南川秀樹氏(10/09/16) |
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経済産業省 大臣官房審議官 有馬純氏(10/08/16) |
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ピュー気候変動センター 国際戦略部長 エリオット・ディリンジャー氏(10/03/25) |
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経済産業副大臣 増子輝彦氏(10/01/25) |
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ブレークスルー研究所 マイケル・シェレンバーガー所長 テッド・ノードハウス会長(09/12/21) |


気候風土、隣国の存在、そして宗教
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