異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

ECOマネジメントサイト終了のお知らせ
当サイトは、3月31日をもちまして終了することになりました。ご愛読いただきました皆様に感謝いたします。当サイト連載中の主要コラムにつきましては、4月以降、日経BP社の環境ポータルサイトであるECO JAPANで引き継ぎ公開いたします。
ECO JAPAN
コンテンツ
特集
リポート
インタビュー
コラム
人と自然
フロントランナー
ECOラボ

 
テーマで読み解く環境問題
温暖化国際交渉、COP16の意義
今回のテーマ
温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
関連キーワード

コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

ベトナムに新幹線の意味
経済発展と環境保護の一石二鳥

2009年8月27日(木)公開
ベトナム政府高官への提案

 8月中旬に、筆者にとっては非常に嬉しいニュースがあった。それはベトナムの国営ベトナム鉄道が、北部の首都ハノイと南部の商都であるホーチミンを結ぶ全長1700キロの南北高速鉄道に、日本の新幹線方式を導入する意向を明らかにしたからだ。同鉄道が予備的な事業化調査を終え、日本の新幹線方式が適当とする案を政府に提出したということで、ベトナム政府側も前向きで来年の国会で検討する方針だという。これはベトナムにとって、経済発展促進と環境保護の一石二鳥の意味があるし、中国、インドを含めて新たな発展・環境保全の形態になりうるものである。

 もちろん最終決定ではない。しかしこのコラムの第27〜29回でベトナムを取り上げ、特に第29回で明らかにした通り、ベトナム政府高官に新幹線の導入を強くすすめた筆者としては、ついに実現に動き出したのかという気持ちなのだ。今のベトナムの鉄道では、ハノイとホーチミン間は約30時間かかるが、高速鉄道が全線開通すれば6時間で結ばれる予定だ。

 ベトナムの鉄道を実際にこの目で見たのは、訪問2回目(最初は1999年)に当たる2008年の6月だった。NHKの「地球特派員」という番組の特派員としてハノイでの一連の取材を終えて、国道1号線を車で北上し、ベトナムと中国の国境を目指して移動したときだ。国境まで車で1時間というランソンまで移動しようとしていたとき。我々が走った国道1号線に沿って鉄道が走っていた。ベトナムには基本的には鉄道はこの1本しかないという。この鉄道が北に延びると同時に、逆に南にも延びればずっとホーチミン市まで貫く。なんと長い鉄道だろう。

 見たところ非常に貧弱な鉄道だった。ほとんどは単線。移動の車の中から、我々と同じ方向に進む鉄道列車を1度だけ見たが、確か3両編成だった。その時思ったのは、「南北に長いベトナムを南北に貫く新幹線が通ったら、この国は大きな発展のプロセスに入るのではないか」ということだ。そういう気持ちがあったから、ベトナム政府の高官にインタビューしたときに以下のような提案をした。

  1. ベトナムは細長い国であり、南北を貫く、もっと高速の鉄道、例えば日本の新幹線技術を導入した鉄道を敷設して交通を活発にしたら、ベトナムの交通事情は大いに改善され環境改善に役立つのではないか
  2. 道路にバイクや車が増えているのはよいが、大部分のバイク、車は排ガス規制を満たしているようには思えず、このままではベトナムのお嬢さんたちが耳まで覆うマスクをしている状況は改善しないのではないか。規制強化が必要では

 この時の私の最初の提案が、今回のベトナムでの新幹線建設方針決定にどの程度寄与したかは知らない。しかし、少なくとも私は、ベトナムにとって新幹線は経済発展と環境保護の二つの視点から必要なものだと当時から考えていたのだ。
 

前ページ前ページ
 1   2 
次ページ次ページ
▲このページのトップ | HOME
松本龍・環境大臣 松本龍・環境大臣(11/02/10) NEW 環境省 地球環境審議官 南川秀樹氏 環境省 地球環境審議官 南川秀樹氏(10/09/16)
経済産業省 大臣官房審議官 有馬純氏 経済産業省 大臣官房審議官
有馬純氏(10/08/16)
ピュー気候変動センター 国際戦略部長 エリオット・ディリンジャー氏 ピュー気候変動センター 国際戦略部長
エリオット・ディリンジャー氏(10/03/25)
経済産業副大臣 増子輝彦氏 経済産業副大臣
増子輝彦氏(10/01/25)
ブレークスルー研究所 マイケル・シェレンバーガー所長、テッド・ノードハウス会長 ブレークスルー研究所
マイケル・シェレンバーガー所長
テッド・ノードハウス会長(09/12/21)
各コラムニストの掲載記事一覧をご覧いただけます  
伊藤洋一の『BRICsの衝撃』 伊藤洋一の
『BRICsの衝撃』
植田和弘の『地球温暖化防止の環境経済学』 植田和弘の
『地球温暖化防止の環境経済学』
沖大幹の『水の惑星の未来』 沖大幹の
『水の惑星の未来』
荻本和彦の『低炭素エネルギーシステムの将来像』 荻本和彦の
『低炭素エネルギーシステムの将来像』
澤昭裕の『不都合な環境政策』 澤昭裕の
『不都合な環境政策』
筒見憲三の『カーボンマネジメント講座』 筒見憲三の
『カーボンマネジメント講座』
寺島実郎の『環境経済の核心』 寺島実郎の
『環境経済の核心』
十市勉の『資源Wars』 十市勉の
『資源Wars』
鳥井弘之の『ニュースの深層』 鳥井弘之の
『ニュースの深層』
中上英俊の『暮らしとエネルギーと温暖化』 中上英俊の
『暮らしとエネルギーと温暖化』
西山孝の『資源クライシスの深層』 西山孝の
『資源クライシスの深層』
野村浩二の『ポスト京都の経済インパクト』 野村浩二の
『ポスト京都の経済インパクト』
増田寛也の『低炭素City』 増田寛也の
『低炭素City』
御園生誠の『キーテクノロジー』 御園生誠の
『キーテクノロジー』
山口光恒の『地球温暖化 日本の戦略』 山口光恒の
『地球温暖化 日本の戦略』
山根一眞の『The環業革命』 山根一眞の
『The環業革命』
山本隆三の『市場が解く? 地球温暖化』 山本隆三の
『市場が解く? 地球温暖化』
   
 
荻本和彦氏のコラム

この記事の目次
ベトナムに新幹線の意味
経済発展と環境保護の一石二鳥

エネルギー消費 交通・運輸

国際協力 途上国支援