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COP15、温暖化交渉を読む
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国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が閉幕した。地球温暖化問題における2013年以降の世界の方向を決める重要な会議であり、大排出国・米中の動向や途上国に対する支援システム構築など、注目すべき点は多かった。今回の交渉結果をどのように読み、今後日本はどの方向に進むべきかを提言する。

コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

サミットに見る「不揃いな多極化」
温暖化の議論で明らかに

2009年7月16日(木)公開
先進国の議論に乗らない途上国

 「温室効果ガス(GHG)の削減」「地球の温暖化阻止」といった大きな目標に向かって、果たして人類はどのくらいの歩調で前に進めるのだろうか。それを真剣に問いかけざるを得ないようなイタリア・ラクイラで開催されたサミット(主要国首脳会議)での議論展開だった。

 むろん「多少は前進した」と言えるポイントはある。ロシアを加えてG8と呼ばれる先進8カ国グループは、2008年の洞爺湖サミットで合意した「世界全体で、2050年までに少なくとも50%削減する」とのGHG排出についての長期目標を再確認し、その上で、グループ内の先進国には「同年までに80%の削減」という高い目標を課すことで合意した。

 高い目標を先進国が自ら背負ったことを示す中で、中国やインドなど新興国にも「2050年で50%削減」の長期目標を受け入れてもらおう、という戦略を描いたのだ。

 しかしG8の後に開かれた主要なGHG排出国が参加する主要経済国フォーラム(MEF、先進国と途上国がともに参加)は、G8と途上国(インドや中国など)が地球温暖化問題について議論したものの、「世界全体のGHG排出量を2050年までに半減する」というG8サイドの長期目標を途上国は最後まで飲まなかった。その結果、終了後に発表されたラクイラ・サミットの首脳宣言には「世界全体のGHG排出量を2050年までに“相当量”削減する」としか記述されなかった。

 G8サイドが主要途上国の誘い込みに失敗した一つの理由は、「2050年までに80%削減」という一見大胆な、先進国自らに犠牲を強いるかのように見える目標そのものが、「どのくらい中味、実体があるものか」と疑問に思わざるを得ないものだったからだ。

 第一に「基準年」が明らかではなかった。基準年を巡っては1990年説をはじめ、各国の姿勢が入り乱れている。スタート時点が明らかでないなら、「80%削減」が本当のところ何を意味するかは不明確だ。

 加えて「2050年」となれば、今回サミットに参加した国の首脳たちのうち半分はほぼ確実にお亡くなりになっているのだろう。そのような遠いところに目標を設定して「こうします」と言われても、「本当にその気があるのだろうか」「実はわれわれを誘うための仕掛けなのではないか」と途上国は疑問に思っただろう。それは、子供に20年も30年も先のプレゼントを約束するようなものである。「本当だろうか」と誰もが思う。実現するかどうかわからない相手の曖昧な約束で、今の自分たちの立場を弱くしたくない、自分たちは「成長」が必要なのだと途上国は考えたはずだ。

 遠い先のプレゼントよりも、「今日明日に何がもらえるのか、何を約束してもらえるのか」のほうが当然重要である。「相手の真剣度を見てからだ」と、途上国もまじめに先進国の提案を検討する気になれなかったのだ。
 

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2008東京国際環境会議

この記事の目次
サミットに見る「不揃いな多極化」
温暖化の議論で明らかに

エネルギー政策 BRICs

国際交渉 サミット/主要排出国会議

国際協力 途上国支援

電気事業連合会