異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

サミットに見る「不揃いな多極化」
温暖化の議論で明らかに

サミットの変質ぶりが目立つ

 今後の展開はどうか。今年12月にはデンマークの首都コペンハーゲンで国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が開かれる。この会議ではラクイラ・サミットであらためて表面化した先進国と途上国の対立をどう乗り越え、今回の首脳宣言に盛り込めなかった数値目標をどう決めるかせめぎ合いが展開するだろう。

 サミットでは「産業革命以前からの気温上昇を2℃以内とする」ことでは合意がなされた。少なくとも後退はしていない。今後の問題は、先進国と途上国が「異」を捨てて「大同」に付けるのかどうか。

 それにしても、長年サミットを見てきた人間としては、今回のサミットはその変質ぶりが目立った。何よりも先進国だけでは何も決められないことが鮮明になった。実に多様な意見が出ていた。国の数が多くなったのだから当然そうなる。そうなると、各種の合意が曖昧となる。

 それもあって、「(サミットは)複層的な会合が行われて、合意も複雑な、本音と建て前の違う」会合になってしまったという印象がある。「少数の首脳による忌憚(きたん)のない意見交換の場」という第一次オイルショック後の当初の狙いは忘れられたともいえる。

 よく金融危機後の世界は、米国も唯一無二の超大国の地位を降りざるを得なくなったことから「世界は多極化した」と言われる。「多極化」というと各極は同じような力を持った極のような印象を受ける。しかし人口も国土面積も、抱えている問題も、経済規模も違う各国が同じような大きさ、重さの極だというようなことはあり得ない。現実にあるのは「不揃いな多極化」であって、そこに共通の誘因と動機を探し、中味のある合意をしようとしたら非常に難しい。

 GHG排出量を巡る各国間の議論の錯綜(さくそう)は、その現実を世界に突き付けたといえる。
 

伊藤洋一 氏伊藤 洋一 氏 (いとう よういち)

1950年長野県生まれ。現在、住信基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。筆者HPは http://www.ycaster.com/

幻 冬舎の月刊誌『ゲーテ』、共同通信社、『日経ビジネス』などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。著書に最新刊として『ITとカースト:インド・成長の 秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える』(新潮新書2006年)。その他『上品で美しい国家』(ビジネス社 2006年)、『スピードの経済』(日本経済新聞社 1997年)、『ビッグバン時代のネット活用術』(東洋経済新報社 1998年)、『グリーンスパンは神様か』(TBSブリタニカ 2001年)。訳書に『グリーンスパンの魔術』(日本経済新聞社 2000年)『欧州の挑戦』(時事通信社 1992年)など。

現 在出演中の番組は、テレビ朝日「やじうまプラス×2」(毎週木曜日朝6時)、関西テレビ「ニュース・アンカー」(毎週火曜日、番組は午後5時から)、テレ ビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」(土曜日、月1回程度)、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(毎週金曜日朝7時台)、ラジオNIKKEIの 「Roundup World Now」、「Asia today」、「マーケット・トレンド」など。

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この記事の目次
サミットに見る「不揃いな多極化」
温暖化の議論で明らかに

エネルギー政策 BRICs

国際交渉 サミット/主要排出国会議

国際協力 途上国支援