異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

途上国巻き込みがどうしても必要
ポスト京都議定書論議

新興国はエネルギー効率改善義務付けを

 その点、「中国やインドなど二酸化炭素(CO2)排出量の多い新興国は、エネルギー効率の改善を義務付けるべきだ」との日本の基本的な立場は正しい。米国や欧州も同じような考え方だろう。それに対して中国やインドが古い観念で反論してきたら、「環境政策は必ずしも経済成長にとって負荷ではない」という考え方で説得しなければならない。もうそういう主張ができる客観情勢はでき上がっていると筆者は考える。米国も過去の政権の過ちを素直に認めつつある。途上国がかたくなな議論をしなければ、ポスト京都議定書の議論は大きく前進する。

 2009年5月に公表された議長案では、2020年までの先進国の温室効果ガス削減目標について、1990年に比べ「25%から40%」、「40%以上」など、いくつかの選択肢が示された。議長案では、途上国や新興国に対しても自主的な削減計画を作成することなどを求めている。しかし、世界全体でこの問題に対処するには、やはり世界的な義務の枠組みのなかで議論を進める必要がある。

 一連の議論のなかで筆者が重要だと思うのは、「実績の確認」だ。つまり京都議定書に至るなかでも各国がどのくらいCO2削減など温室効果ガスの削減に努力してきたのか、各国がどのくらいエネルギー効率を高めてきたのか、という実績を確認するという作業だ。

 よく知られているように、日本は2度の石油危機で、エネルギー供給を100%近く海外に依存しているという実情に鑑み、世界各国のなかでもエネルギー効率を著しく高めてきた。同じ1リットルの石油を使う場合でも、米国や一部途上国の2倍近いエネルギーを取り出し利用してきた。つまり、より少ない石油で経済を回すことに成功してきたのである。

 それが国益に合致していたことは間違いない。しかしそれが結果的に、日本が輸入しなければならない石油の量はそうでない場合に比べて大きく減った。そういう意味では、日本は他のエネルギー効率が悪い国々、例えば米国などに比較して地球環境には大きく貢献してきた面がある。そうした過去の実績を踏まえての「今後の削減目標設定」が妥当だろう。エネルギー効率が悪かった国は、容易に高い削減率を達成できる。その点の確認が必要になると思う。
 

伊藤洋一 氏伊藤 洋一 氏 (いとう よういち)

1950年長野県生まれ。現在、住信基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。筆者HPは http://www.ycaster.com/

幻 冬舎の月刊誌『ゲーテ』、共同通信社、『日経ビジネス』などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。著書に最新刊として『ITとカースト:インド・成長の 秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える』(新潮新書2006年)。その他『上品で美しい国家』(ビジネス社 2006年)、『スピードの経済』(日本経済新聞社 1997年)、『ビッグバン時代のネット活用術』(東洋経済新報社 1998年)、『グリーンスパンは神様か』(TBSブリタニカ 2001年)。訳書に『グリーンスパンの魔術』(日本経済新聞社 2000年)『欧州の挑戦』(時事通信社 1992年)など。

現 在出演中の番組は、テレビ朝日「やじうまプラス×2」(毎週木曜日朝6時)、関西テレビ「ニュース・アンカー」(毎週火曜日、番組は午後5時から)、テレ ビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」(土曜日、月1回程度)、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(毎週金曜日朝7時台)、ラジオNIKKEIの 「Roundup World Now」、「Asia today」、「マーケット・トレンド」など。

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