異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

途上国への環境技術移転
移転できない危機意識

2009年4月16日(木)公開
中国内陸部はいきなりケータイ時代に突入

 前回のコラムの最後に『次回は、「発展の中間省略」のような形で進められる新しいエネルギー源への投資が、途上国の環境問題との取り組みでどういう意味合いを持つのかを考えてみたい』と書いたので、この問題を扱う。というのは、私の気持ちの中に「環境、エネルギー技術の途上国への移転の有効性」に関して、ある懸念があるからだ。

 そもそも「発展の中間省略」とはなにか。中国の電話事情で具体的に説明しよう。筆者は2001年に重慶を出発して、最後は上海に至る揚子江下りを含む長旅をしたことがある。その時実感したのは、「中国は完全なケータイ電話時代に入っている」というものだ。経済全体の発展段階から見て、中国のケータイの進化の速さにはやや驚いた。というのも、筆者は普通の日本人が行く都市ばかりでなく、非常に発展の遅れた農村地帯を車で走り抜け、その間ずっとガイドさんのケータイ電話が使えたがゆえに救われた経験を持つからだ。

 正直言うと、重慶から乗って宜昌で降りた三峡下りの船の中(2日くらいかかったと思った)に、うっかりしてパスポートを忘れてしまったのだ。それに気付いたのは船を下りてもう武漢に着くというバスの中。で、武漢でガイドさんに頼んで、もう揚子江を上がり始めた船をタクシーで追いかけて船の次の寄港地でパスポートをピックアップすることをしたのだが、その時に、中国の完成したケータイ電話網にすごく感心し、感謝した。中国がケータイ時代に入っていなければ、こんな真似はできなかった。どんな山の中でも、ガイドさんのケータイ電話は通じ、船と連絡が取れたのだ。

 しかし、あとで聞いたが、私が通過した中国のこの地方の大部分では、日本人が普通に使っているような家庭の有線電話はほとんど普及していない状態だったという。今は知らないが、三峡ダムの近くの商店では当時、まだ電話を貸す商売が行われていた。これは私が目撃している。2年前でもモンゴルのウランバートルでは、道で電話を貸す商売があった。

 日本での電話の発展を振り返ると、電柱に電話線を張り巡らしながら有線電話が長い時間をかけて発展し、その後に所々に中継ポイントを設けるケータイ電話網が発展した。こうした長い経緯があって、今の日本の電話を巡る状況がある。日本では最近、家に電話を置かない若い人が増えている。それはそうで、最近家にかかってくる電話は「オレオレ」を含むろくでもないものが多い。

 ともかく、わが国には、「有線電話→ケータイ電話」という通るべきルートがあった。
 

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