異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

中国を襲う干ばつと
人工降雨の危険性

人工降雨のヨウ化銀は大丈夫か

 特に気になっていたのは、中国の降雨ロケットが「ヨウ化銀」を使った結晶剤を使っていることだった。結晶剤は水滴ができる核を提供して、それがまとまり雲となって雨が降る。それはいいのだが、筆者は「ヨウ素」のようなハロゲンや「銀」が空にまかれることをずっと心配しているのだ。日本の公害をみてもハロゲン化合物や金属イオンはいろいろな悪さをしている。

 北京の新聞である「京華時報」に掲載された政府当局者のコメントによると、「(人工降雨に使われる)ヨウ化銀の量は、年間1km2あたりわずか0.5mgであり、環境には全く問題ない」となっている。これが中国の言い分なのだろう。しかし今年は例年になく厳しいとしても、中国という広大な国土全体が置かれた状況を考えると、同国の干ばつは今後深刻化しても軽くなることはないだろう。ということは、降雨ロケットが発射される機会が増えるということだ。

 人工降雨を降らせるには液体炭酸を使う方法もあるそうだ。筆者はその具体的な方法を知らないが、専門家の話では「ヨウ化銀を使うより効率よく降雨を得られる」ということのようで、常識的に考えても「ヨウ素」や「銀」よりは環境に優しそうだ。日本はヨウ化銀の使用に関しても、中国ときちんとした話し合いをしてほしいものだ。

 もっと究極の問題もある。人工降雨を進めるということは、ほおっておけば他の地域に降ったであろう雨をその場で、または狙った場所で降らせてしまうということだ。ある意味では水資源の横取りに相当する。それはどうなのだろうか。日本は中国から来る西風の風下にある。だから黄砂も粉塵も問題なのだ。今は問題ない量だとしても、また日本の場合「台風が一つ来てくれたら問題は解決する」ということも事実だろうが、中国があまりに人工降雨に頼るのを見るのは日本にいるわれわれとしては気持ちのよいものではない。

 中国は今「南水北調」(降雨量の多い南部から、水を北部に回す)という大きなプロジェクトを進めているが、それが完成する間にロケットを大量に打ち上げようというのでは、またしても大気が汚染される可能性がある。

 何に対しても文句を言っているようで悪いが、それだけ中国の動きは日本の環境に影響するのだ。
 

伊藤洋一 氏伊藤 洋一 氏 (いとう よういち)

1950年長野県生まれ。現在、住信基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。筆者HPは http://www.ycaster.com/

幻 冬舎の月刊誌『ゲーテ』、共同通信社、『日経ビジネス』などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。著書に最新刊として『ITとカースト:インド・成長の 秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える』(新潮新書2006年)。その他『上品で美しい国家』(ビジネス社 2006年)、『スピードの経済』(日本経済新聞社 1997年)、『ビッグバン時代のネット活用術』(東洋経済新報社 1998年)、『グリーンスパンは神様か』(TBSブリタニカ 2001年)。訳書に『グリーンスパンの魔術』(日本経済新聞社 2000年)『欧州の挑戦』(時事通信社 1992年)など。

現 在出演中の番組は、テレビ朝日「やじうまプラス×2」(毎週木曜日朝6時)、関西テレビ「ニュース・アンカー」(毎週火曜日、番組は午後5時から)、テレ ビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」(土曜日、月1回程度)、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(毎週金曜日朝7時台)、ラジオNIKKEIの 「Roundup World Now」、「Asia today」、「マーケット・トレンド」など。

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