異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

バイオ燃料の国
ブラジルへの思い

2009年2月5日(木)公開
オバマ新大統領が示した「soil」とは?

 前回のコラムでは、オバマ米大統領の19分間の就任演説を取り上げた。そこで、『しかし就任演説の中で「a warming planet」(温暖化する地球)に触れ、自動車を走らせ、工場を稼働させるための「the sun and the winds and the soil」(太陽、風、そして土壌)に触れた大統領はおそらく初めてだろう』と書いた。

 実は、この文章をまとめるときに「soil」は何だろうと思いながら書いた。太陽は太陽光発電に、風は風力発電に使われる。しかし「soil」(土壌)とは何か、と思ったのだ。その謎が数日間解けなかった。彼のこの発言のうしろは「to fuel our cars and run our factories.」となっている。つまり、「我々の自動車に燃料を与え、工場を走らせる太陽と風と土壌」となっているのである。

 では、その目的にかなう「土壌」とは何か。就任演説後は、しばらくはわからなかった。いろいろな可能性があり、「地熱発電も考えられる」と思っていた。 しかしオバマ大統領は、その後の初ビデオ演説(毎週末にやるらしい)で、同じ語順で「太陽、風、そしてバイオ燃料」と言った。そこで私は、就任演説でオバマ新大統領が言った「soil」とは「バイオ燃料」を指すと判断した。米国では「いや、彼の“soil”は地熱発電をさす」という意見も残っているらしい。

 だが、私は「to fuel our cars」という言葉の繋がりからも、オバマ新大統領が言った「soil」は、「バイオ燃料を生み出す土壌=大地」だと今は考えている。

 確かに、「バイオ燃料」の元になるトウモロコシやサトウキビ、その他の非穀物系の作物は、土がなければ育たない。ただし、彼が今の米国のトウモロコシベースによるバイオ燃料を「よい」と言っているのかどうかはわからない。今もってである。実は 私が2006年に取材したエタノール工場の運営会社 は、その後倒産したと聞いて、「米国のエタノール産業のベースは脆弱だ」と思ったし、多くの途上国にとっての食料であるトウモロコシからの燃料生産については、そもそも批判が強い。私も反対だ。だから、オバマがそれ、つまりトウモロコシベースのエタノールを思いながら「soil」と言ったのだとしたら問題だ。

 オバマ新大統領が、非穀物系のエタノール燃料を支持していることを期待するが、まあ、それは置くとして就任演説の「soil」の意味は一応わかった。オバマ大統領が「soil」という単語で何を意味しているのかは、今後も見守っていく必要がある。筆者は、「トウモロコシのような穀物を石油代替のバイオ燃料に使うのは、人類に対する犯罪に等しい」という一貫した考え方で、米国も非穀物系の植物をバイオ燃料に向けることを期待したい。
 

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