異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

バイオ燃料の国
ブラジルへの思い

嘲笑されながらも進めたブラジルの意志

 対して、サトウキビを原料として、ブラジルでバイオエタノールをつくる場合には、EPRは「8」前後になるとされている。かなりのエネルギーゲインがあるわけだ。

 この問題以上に筆者が「大事だ」と思うのは、サトウキビは搾りカスである「バガス」を燃やすことで、食料との競合がないと主張されている点だ。もっとも昨年は、あまりにもたくさんのバイオ燃料がサトウキビから生産されたので、「世界の砂糖供給が減少して、ケーキの値段も上がった」と、日本で報じられた。実はこの背景には、複雑な流通機構の問題などもあったということで、日本で報じられたとおりではないようだが、いずれにせよ、米国のトウモロコシベースのバイオ燃料には反感を持った筆者も、「サトウキビベースのバイオ燃料」には非常に興味を持った。

 このNHKの番組では、「ブラジルでは広大な農地がまだ余っている」というだけで、一般的に言われているアマゾンの森林保全との関係、バイオエタノールの発酵・蒸留プロセスでの排水などによる環境負荷の問題などについては触れていなかった。前者はよく取り上げられるが、後者に関してはブラジルも「排水による環境負荷は大きい」と認めているらしい。前者については、実際にあまり問題はない、との説もある。

 筆者にとって、ブラジルはまだ行ったことのない国である。しかし、この南米のほぼ半分を占めるBRICsの国に関しては、並々ならぬ興味を持った。地球環境の維持という意味でも、成長する途上国としても。ブラジルが凄まじいのは、世界中が「サトウキビで車を走らせる国があるらしい」と嘲笑していた段階から、じっとエタノール産業を育ててきた迫力だ。NHKの番組は、そこをよく拾っていた。

 ブラジルの現状とともに、「サトウキビベースのエタノール」に関して、もっと調べたい衝動に駆られている。
 

伊藤洋一 氏伊藤 洋一 氏 (いとう よういち)

1950年長野県生まれ。現在、住信基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。筆者HPは http://www.ycaster.com/

幻冬舎の月刊誌『ゲーテ』、共同通信社、『日経ビジネス』などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。著書に最新刊として『ITとカースト:インド・成長の秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える』(新潮新書2006年)。その他『上品で美しい国家』(ビジネス社 2006年)、『スピードの経済』(日本経済新聞社 1997年)、『ビッグバン時代のネット活用術』(東洋経済新報社 1998年)、『グリーンスパンは神様か』(TBSブリタニカ 2001年)。訳書に『グリーンスパンの魔術』(日本経済新聞社 2000年)『欧州の挑戦』(時事通信社 1992年)など。

現在出演中の番組は、テレビ朝日「やじうまプラス×2」(毎週木曜日朝6時)、関西テレビ「ニュース・アンカー」(毎週火曜日、番組は午後5時から)、テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」(土曜日、月1回程度)、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(毎週金曜日朝7時台)、ラジオNIKKEIの「Roundup World Now」、「Asia today」、「マーケット・トレンド」など。

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