異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

「環境」の一文字もない!
金融サミットの悲しい声明

ちっとも変わらない考え方

 世界の動きだけが筆者をがっかりさせたのではない。東京都は、ガソリンなど化石燃料の消費に課税する全国初の環境税(炭素税)導入を検討していた。東京都税制調査会(会長・神野直彦東大教授)で審議が進んでいたが、11月19日に石原慎太郎知事に提出する最終答申では、「導入の提言を見送る」ことがわかったと新聞が報じている。二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの削減を促すことを目的としていたが、「最近の経済情勢の悪化で、事業所や家庭に負担を求めるのは困難」と判断したという。

 見送る代わりに、答申では、省エネなどに取り組んだ事業所や家庭を対象とした減税の提言を盛り込むという。都税調が2007年秋に提出した中間報告では、環境対策の税制として、

  1. ガソリンなど化石燃料消費への課税
  2. 電気・ガスの使用への課税
  3. 自動車税への一定額の上乗せ
  4. 都民税の均等割への一定額の上乗せ

 などを検討していた。うち、特にCO2排出と直接関連する(1)と(2)について、排出抑制を促す効果があるとして、最終答申に導入を促す提言を盛り込む方向だったという。しかし、見送った。ここでも、底辺にある考え方は、「環境は後回し。成長回復を優先する」という考え方だ。しかし、環境を抜きにした成長にどれほど価値があるのか。環境を破壊しながらの成長が、どのくらい悲惨だったのかをわれわれは知っているはずだ。

 がっかりした。世界の考え方の主流はちっとも変わっていない。オバマ次期米大統領がG20のサミットに出ていたら、少しは状況が変わっただろうか。

 「成長」は世界中の政治家にとって票になる。それは確かだ。しかし、「環境」だって票になるという常識をそろそろ広めたいものだ。
 

伊藤洋一 氏伊藤 洋一 氏 (いとう よういち)

1950年長野県生まれ。現在、住信基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。筆者HPは http://www.ycaster.com/

幻冬舎の月刊誌『ゲーテ』、共同通信社、『日経ビジネス』などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。著書に最新刊として『ITとカースト:インド・成長の秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える』(新潮新書2006年)。その他『上品で美しい国家』(ビジネス社 2006年)、『スピードの経済』(日本経済新聞社 1997年)、『ビッグバン時代のネット活用術』(東洋経済新報社 1998年)、『グリーンスパンは神様か』(TBSブリタニカ 2001年)。訳書に『グリーンスパンの魔術』(日本経済新聞社 2000年)『欧州の挑戦』(時事通信社 1992年)など。

現在出演中の番組は、テレビ朝日「やじうまプラス×2」(毎週木曜日朝6時)、関西テレビ「ニュース・アンカー」(毎週火曜日、番組は午後5時から)、テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」(土曜日、月1回程度)、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(毎週金曜日朝7時台)、ラジオNIKKEIの「Roundup World Now」、「Asia today」、「マーケット・トレンド」など。

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