異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

CO2排出量急増のインド
脱石炭は実現できるか?

インドも原子力発電重視の姿勢に

 では、インドの石炭依存度はどのくらいか。中国ほどではない。比率にして53%が石炭依存である。私の手元にある統計はちょっと古いが、それでもこの「半分は石炭に依存」という客観情勢はあまり変わらないのではないか。

 断っておくが、石炭は環境に対して、しばしば破壊的なエネルギーとされるが、その位置づけは、将来変わるかも知れない。昨年、米国に行ったときも、「原子力ルネッサンス」のなかで、むしろ「クリーン・コール」(綺麗な石炭)を将来の米国の主要なエネルギー源にしようという話も出ていた。石油価格高騰のなかで、米国では真摯にエネルギー源探しをしているのだ。

 ただし、先進国でも「クリーン・コール」はまだ計画段階のプロジェクトにすぎない。中国やインドが、その技術を使って、国内で使用している石炭を環境に優しい状況のなかでエネルギー源として使えるようになるには、長い時間が必要だろう。ということは、国内エネルギーの半分を石炭に頼るインドは、中国ほどではないにせよ、非常に大きなCO2排出国であり続けるし、恐らく日本やロシアを引き離して、着実に、揺るぎのない世界第3位のCO2排出国となる危険性が高い。

 インドも中国と同じように、エネルギー源の多様化を狙って原子力発電などに注力している。しかし、今のような形で、つまり原油高に背中を押されて世界の主要国が原子力に走る姿は、個々における原発の事故確率の面からも、テロ組織などが核物資を入手しやすくなるのではないかというセキュリティ上の問題からも好ましい姿ではない。米国との原子力協定に関しても、インドでは、さまざまな根強い議論があり、そのなかにはインドの原子力大国化に疑念を抱かざるを得ないようなものもあった。

 中国と並んでエネルギーを石炭に依存するインド。その先行きは、環境問題を考えるうえでも非常に大きな影響を及ぼすことになる。
 

伊藤洋一 氏伊藤 洋一 氏 (いとう よういち)

1950年長野県生まれ。現在、住信基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。筆者HPは http://www.ycaster.com/

幻冬舎の月刊誌『ゲーテ』、共同通信社、『日経ビジネス』などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。著書に最新刊として『ITとカースト:インド・成長の秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える』(新潮新書2006年)。その他『上品で美しい国家』(ビジネス社 2006年)、『スピードの経済』(日本経済新聞社 1997年)、『ビッグバン時代のネット活用術』(東洋経済新報社 1998年)、『グリーンスパンは神様か』(TBSブリタニカ 2001年)。訳書に『グリーンスパンの魔術』(日本経済新聞社 2000年)『欧州の挑戦』(時事通信社 1992年)など。

現在出演中の番組は、テレビ朝日「やじうまプラス×2」(毎週木曜日朝6時)、関西テレビ「ニュース・アンカー」(毎週火曜日、番組は午後5時から)、テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」(土曜日、月1回程度)、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(毎週金曜日朝7時台)、ラジオNIKKEIの「Roundup World Now」、「Asia today」、「マーケット・トレンド」など。

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荻本和彦氏のコラム

この記事の目次
CO2排出量急増のインド
脱石炭は実現できるか?

エネルギー技術 化石燃料/クリーン・コール・テクノロジー/原子力発電

エネルギー政策 BRICs

国際協力 途上国支援