異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

高まる住民意識
途上国に変化の兆し

2008年9月25日(木)公開
「ナノ」生産工場、建設中止の衝撃

 一時不安定化したシン政権の政権基盤の問題と同じくらい、私がずっと興味をもって見てきたインドの問題といえば、「ナノ」である。読者の皆さんもご存知だろう。インドのタタ財閥の一翼を担い、インドの道路では頻繁に、トラックにその名前を見つけることができるタタ・モーターズが「究極の超低価格車」として近く発売すると発表した車だ。

 ナノの名前の通り、本当に小さい。余分なものはすべて切り捨てて、価格はなんと日本円で28万円程度。日本の軽自動車より遙かに小さく、「大きいインド人が乗れるのかな」とも「あれでぶつかったら、ちょっと危ないな」とも思うような車だ。何せ値段が値段だ。

 インドでは、人々はまず歩き、そして自転車を買えるようになると自転車で移動し、そこから所得が上がるとバイクに移行し、限られた人が自動車に乗っている、という構図。インドの道を走ると、庶民と思われる人はバイクに妻と子供など複数の人間を乗せて走っている。ベトナムと違って、一部の人しかヘルメットをかぶっておらず、大部分はヘルメットをしていない。

 タタ・グループの総裁であるラタン・タタ氏は、バイクに乗っている人々が、家族を乗せ、子供を乗せて走っているのを見て、「彼らにも屋根のある車を提供したい」と考えたのがナノの原点だと言われる。インドに何回も行っている私としても、その気持ちはわかる。さらにビジネスの側面から言うならば、トラックでは強いタタも、乗用車では日本のスズキ系列のマルチなどにかなり後れを取っていて挽回したいという気持ちもあったのだろう。タタは英国のジャガーとランドローバーの買収もして、積極拡大路線を取っている。

 筆者は冗談に、インドの友人であるニューデリーのチャタルジーさんに、「ナノが出たら1台お土産に買ってきてくれ」と、常々言っていた。ただし、ナノは恐らく相当お金をかけて改修しないと日本の道路では走れない。まず、排ガス規制に引っ掛かるし、日本の車なら「当然ある」と思われるものが結構欠けている。まあ、だから冗談なのだが、しかし、実際に出たらこの目で見てみたいし、車の中に滑り込んでみたいと考えている。

 しかし、そのナノが生産に移行する段階になって、大きな障害に見舞われた。最近、「タタ・モーターズ、超低価格車ナノの生産工場の建設中止や移転も検討」というニュースが入ってきたからだ。今年9月の上旬だ。
 

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