異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

ECOマネジメントサイト終了のお知らせ
当サイトは、3月31日をもちまして終了することになりました。ご愛読いただきました皆様に感謝いたします。当サイト連載中の主要コラムにつきましては、4月以降、日経BP社の環境ポータルサイトであるECO JAPANで引き継ぎ公開いたします。
ECO JAPAN
コンテンツ
特集
リポート
インタビュー
コラム
人と自然
フロントランナー
ECOラボ

 
テーマで読み解く環境問題
温暖化国際交渉、COP16の意義
今回のテーマ
温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
関連キーワード

コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

進行する砂漠化
急成長の影に悩むベトナム

貧しさと土地の砂漠化

 むろん地球温暖化がこのベトナムにも大きな影響を与えていて、その一つの現象が砂漠化なのであろう。しかし筆者には、農村の困窮もベトナム国土の砂漠化の大きな原因となっているような気がする。

 もちろん、実際に行っていないので確信的なことは言えない。しかし、ベトナムの農村は、足早な経済発展を始めた同国にあって、今でも非常に貧しいに違いない。それはハンさんの話を聞いてもわかるし、取材した都市周辺に働きに来ている農村出身の20歳前後の若い人たちの話を聞いても明確である。私が2006年に行って、あまりの貧しさに絶句したインドの農村並みなのではないかと思う。恐らく、年収が日本円で10万円に届かない農家がたくさんあるに違いない。

 なぜ行っていないのにわかるかといえば、農村出身の若者が都会で得ている賃金を聞けばわかるのである。彼らは「農村には職がない」「だから都会に出てきて、育ててくれた両親に恩返しをする」と言って都会の工場で働いているのだが、その彼らが得る月収は、低いケースだと6000円くらいである。12倍しても8万円に届かない。それでも、農村にいるよりは所得が多いし、驚くことに、その所得のかなりの部分を田舎の両親に仕送りしている。彼らが出てきた農村の貧しさが容易に想像できる。ハンさんは、「私が出てきた地方を含めて、ベトナムの農村は貧しい」と一言語った。

 貧しさと土地の砂漠化は、密接に関連している。インドがそうだったが、貧しさは住民の教育レベルの低さに繋がり、土地や森林の利用の粗雑化に繋がる。切る必要のない木を切ったり、焼き畑農業の拡大に繋がったりする。焼き畑は昔からの慣行かも知れないが、地球環境の変化のなかでは土地全体の砂漠化を大きく促進しかねない。

 ベトナム政府も、全人口の4分の1にその影響が及び始めた「砂漠化」に取り組み始めている。植林や防砂林の設置などを進め、住民教育も活発に始めたという。しかし、ベトナムで話を聞いていると、大きな成果は出ていないようだ。ベトナムのような湿度が高い地域、海に近い地域の東南アジアでの砂漠化進行は、日本のわれわれにとっても警告に満ちた話である。ベトナムで起きていることは、日本でも起きうる。また、ベトナムで起きていることは東南アジア全体で起きうる。

 中国では、すでに凄まじい勢いで国土の砂漠化が進行している。われわれ日本人は、特に九州など西に住む人々にとっては毎年の黄砂被害は甚大である。森林の伐採、焼き畑などが中国の砂漠化の大きな原因とされる。「あのベトナム」での「砂漠化」は、実に大きな警告になっているように思う。
 

伊藤洋一 氏伊藤 洋一 氏 (いとう よういち)

1950年長野県生まれ。現在、住信基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。筆者HPは http://www.ycaster.com/

幻冬舎の月刊誌『ゲーテ』、共同通信社、『日経ビジネス』などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。著書に最新刊として『ITとカースト:インド・成長の秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える』(新潮新書2006年)。その他『上品で美しい国家』(ビジネス社 2006年)、『スピードの経済』(日本経済新聞社 1997年)、『ビッグバン時代のネット活用術』(東洋経済新報社 1998年)、『グリーンスパンは神様か』(TBSブリタニカ 2001年)。訳書に『グリーンスパンの魔術』(日本経済新聞社 2000年)『欧州の挑戦』(時事通信社 1992年)など。

現在出演中の番組は、テレビ朝日「やじうまプラス×2」(毎週木曜日朝6時)、関西テレビ「ニュース・アンカー」(毎週火曜日、番組は午後5時から)、テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」(土曜日、月1回程度)、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(毎週金曜日朝7時台)、ラジオNIKKEIの「Roundup World Now」、「Asia today」、「マーケット・トレンド」など。

前ページ前ページ
 1   2   3 
次ページ次ページ
▲このページのトップ | HOME
松本龍・環境大臣 松本龍・環境大臣(11/02/10) NEW 環境省 地球環境審議官 南川秀樹氏 環境省 地球環境審議官 南川秀樹氏(10/09/16)
経済産業省 大臣官房審議官 有馬純氏 経済産業省 大臣官房審議官
有馬純氏(10/08/16)
ピュー気候変動センター 国際戦略部長 エリオット・ディリンジャー氏 ピュー気候変動センター 国際戦略部長
エリオット・ディリンジャー氏(10/03/25)
経済産業副大臣 増子輝彦氏 経済産業副大臣
増子輝彦氏(10/01/25)
ブレークスルー研究所 マイケル・シェレンバーガー所長、テッド・ノードハウス会長 ブレークスルー研究所
マイケル・シェレンバーガー所長
テッド・ノードハウス会長(09/12/21)
各コラムニストの掲載記事一覧をご覧いただけます  
伊藤洋一の『BRICsの衝撃』 伊藤洋一の
『BRICsの衝撃』
植田和弘の『地球温暖化防止の環境経済学』 植田和弘の
『地球温暖化防止の環境経済学』
沖大幹の『水の惑星の未来』 沖大幹の
『水の惑星の未来』
荻本和彦の『低炭素エネルギーシステムの将来像』 荻本和彦の
『低炭素エネルギーシステムの将来像』
澤昭裕の『不都合な環境政策』 澤昭裕の
『不都合な環境政策』
筒見憲三の『カーボンマネジメント講座』 筒見憲三の
『カーボンマネジメント講座』
寺島実郎の『環境経済の核心』 寺島実郎の
『環境経済の核心』
十市勉の『資源Wars』 十市勉の
『資源Wars』
鳥井弘之の『ニュースの深層』 鳥井弘之の
『ニュースの深層』
中上英俊の『暮らしとエネルギーと温暖化』 中上英俊の
『暮らしとエネルギーと温暖化』
西山孝の『資源クライシスの深層』 西山孝の
『資源クライシスの深層』
野村浩二の『ポスト京都の経済インパクト』 野村浩二の
『ポスト京都の経済インパクト』
増田寛也の『低炭素City』 増田寛也の
『低炭素City』
御園生誠の『キーテクノロジー』 御園生誠の
『キーテクノロジー』
山口光恒の『地球温暖化 日本の戦略』 山口光恒の
『地球温暖化 日本の戦略』
山根一眞の『The環業革命』 山根一眞の
『The環業革命』
山本隆三の『市場が解く? 地球温暖化』 山本隆三の
『市場が解く? 地球温暖化』
   
 
荻本和彦氏のコラム