異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

サミットで考える
「成長の質、支援の中味」

本当に必要な援助は「生きる術」を教えること

 しかし、どうだろうか。先進国が約束し、実行している援助は、その後がきちんとトレースされ、それが途上国で、実際にどの程度役立っているのか検証されているだろうか。数字だけが独り歩きしていないだろうか。

 筆者は援助の現場をあまり知らない。しかし、その現場を何回も見た人の話を聞くと、衝撃的である。政府の高官や闇組織が援助物資などを横取りして、テレビなどに映る、本当に貧しい、それを必要としている人たちには届かないことが多いらしい。もし、先進国からの援助が、そうしたよこしまな連中に横取りされているとしたら、先進国が行ったと発表する援助の金額は、どんな意味があるのか。むしろ援助対象国の貧富の差を拡大しているだけではないか。

 もっと本質的な問題もある。援助は、しばしば「明日」に繋がらない。今を生き延びるためには必要かも知れないが、食べたり使ったりしたら終わりである。災害援助に意味があるのは、彼らは「今」を乗り切ることが必要で、だからこそ援助が生きるのだ。その後の生活は、また自分で行える。

 エコノミスト的な視点から言うと、本当に貧しい、さしたる生活手段を持たない人々に本当に必要なことは「生きる術」を教えることである。それが本当の支援になるのだと思う。

 サミットでは、もう一つのことを考えていた。「成長の質」である。今の中国やインドの成長パターンを見ていると、どう見ても、将来世代にツケが回ってきそうな印象がする。公害の垂れ流し、大気の汚染、水の汚染……。途上国は「成長」、「成長」と言って、それは重要なことなのだが、すでに酷い公害を経験した日本のような国は、「成長の質」について素直に話をする必要があるのではないだろうか。

 確かに途上国には「成長の権利」がある。しかし、それはまた、国民に負荷の少ない質の高いモノであってほしい。
 

伊藤洋一 氏伊藤 洋一 氏 (いとう よういち)

1950年長野県生まれ。現在、住信基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。筆者HPは http://www.ycaster.com/

幻冬舎の月刊誌『ゲーテ』、共同通信社、『日経ビジネス』などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。著書に最新刊として『ITとカースト:インド・成長の秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える』(新潮新書2006年)。その他『上品で美しい国家』(ビジネス社 2006年)、『スピードの経済』(日本経済新聞社 1997年)、『ビッグバン時代のネット活用術』(東洋経済新報社 1998年)、『グリーンスパンは神様か』(TBSブリタニカ 2001年)。訳書に『グリーンスパンの魔術』(日本経済新聞社 2000年)『欧州の挑戦』(時事通信社 1992年)など。

現在出演中の番組は、テレビ朝日「やじうまプラス×2」(毎週木曜日朝6時)、関西テレビ「ニュース・アンカー」(毎週火曜日、番組は午後5時から)、テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」(土曜日、月1回程度)、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(毎週金曜日朝7時台)、ラジオNIKKEIの「Roundup World Now」、「Asia today」、「マーケット・トレンド」など。

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