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温暖化国際交渉、COP16の意義
コラム
伊藤洋一の『BRICsの衝撃』
サミットで考える
「成長の質、支援の中味」
しかし、どうだろうか。先進国が約束し、実行している援助は、その後がきちんとトレースされ、それが途上国で、実際にどの程度役立っているのか検証されているだろうか。数字だけが独り歩きしていないだろうか。
筆者は援助の現場をあまり知らない。しかし、その現場を何回も見た人の話を聞くと、衝撃的である。政府の高官や闇組織が援助物資などを横取りして、テレビなどに映る、本当に貧しい、それを必要としている人たちには届かないことが多いらしい。もし、先進国からの援助が、そうしたよこしまな連中に横取りされているとしたら、先進国が行ったと発表する援助の金額は、どんな意味があるのか。むしろ援助対象国の貧富の差を拡大しているだけではないか。
もっと本質的な問題もある。援助は、しばしば「明日」に繋がらない。今を生き延びるためには必要かも知れないが、食べたり使ったりしたら終わりである。災害援助に意味があるのは、彼らは「今」を乗り切ることが必要で、だからこそ援助が生きるのだ。その後の生活は、また自分で行える。
エコノミスト的な視点から言うと、本当に貧しい、さしたる生活手段を持たない人々に本当に必要なことは「生きる術」を教えることである。それが本当の支援になるのだと思う。
サミットでは、もう一つのことを考えていた。「成長の質」である。今の中国やインドの成長パターンを見ていると、どう見ても、将来世代にツケが回ってきそうな印象がする。公害の垂れ流し、大気の汚染、水の汚染……。途上国は「成長」、「成長」と言って、それは重要なことなのだが、すでに酷い公害を経験した日本のような国は、「成長の質」について素直に話をする必要があるのではないだろうか。
確かに途上国には「成長の権利」がある。しかし、それはまた、国民に負荷の少ない質の高いモノであってほしい。
伊藤 洋一 氏 (いとう よういち)
1950年長野県生まれ。現在、住信基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。筆者HPは http://www.ycaster.com/
幻冬舎の月刊誌『ゲーテ』、共同通信社、『日経ビジネス』などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。著書に最新刊として『ITとカースト:インド・成長の秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える』(新潮新書2006年)。その他『上品で美しい国家』(ビジネス社 2006年)、『スピードの経済』(日本経済新聞社 1997年)、『ビッグバン時代のネット活用術』(東洋経済新報社 1998年)、『グリーンスパンは神様か』(TBSブリタニカ 2001年)。訳書に『グリーンスパンの魔術』(日本経済新聞社 2000年)『欧州の挑戦』(時事通信社 1992年)など。
現在出演中の番組は、テレビ朝日「やじうまプラス×2」(毎週木曜日朝6時)、関西テレビ「ニュース・アンカー」(毎週火曜日、番組は午後5時から)、テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」(土曜日、月1回程度)、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(毎週金曜日朝7時台)、ラジオNIKKEIの「Roundup World Now」、「Asia today」、「マーケット・トレンド」など。
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「成長の質、支援の中味」
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