異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

第二世代のバイオ燃料にかかる
「食」と「エネルギー」の期待

道ばたの草からもエタノールはつくれる

 エタノール工場に次々に投下されていくトウモロコシ。それを見ながら直感的に思ったのは、「世界は大変なことになる」というものだった。人間や家畜が本来食べるものが、ガソリンに代わる燃料となるのである。「倫理に反している」とも思った。

 エタノールはトウモロコシやサトウキビだけからしかつくれないわけではない。焼酎が実に多くの原材料からつくられるのと同じ原理である。実際にエタノール工場の臭いは、焼酎工場とまったく同じである。日本酒の元である米からもエタノールはできる。しかし、日本人の私から見れば、それも「とんでもない」ということになる。米不足の今の世界も、それを許さないだろう。

 非常に重要なことは、今の技術でも、効率がよいか悪いかを問わなければ、その辺に生えている草からだってエタノールはつくれるということである。「日本をはじめ世界の技術を集めれば、あらゆる植物に豊かにあるセルロースを原料に、きっとエタノールができるはずだ」というのが、私の意見だった。それが、食糧サミットで「第二世代のバイオ燃料の研究と実用化」という形で提案がなされたのは、実に心強い。セルロースを多く含む各種の草から、エタノールなどバイオ燃料が効率的に安く生産されれば、原油価格や食料品価格への歓迎すべき下方圧力は強いモノになるはずだ。

 「インドが豊かになったから食料品価格が上がった」式のブッシュ米大統領の見方も、飼料穀物を大量に使わなければならない家畜の肉を途上国の人々が食べるようになったのが背景という先進国サイドの見方も、一面の真実を突いている。一方で、日本を含む先進国には、膨大な食糧を廃棄しているという非難が付きまとう。それも当たっている。しかし非難合戦では何も進まない。

 世のなかを本当に変えるのはテクノロジーである。「べき論」では世のなかは動かない。今回の食糧サミットでは、まだ、その手の議論が主だった。それは残念だが、技術に注目した議論が出てきたことを歓迎したい。
 

伊藤洋一 氏伊藤 洋一 氏 (いとう よういち)

1950年長野県生まれ。現在、住信基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。筆者HPは http://www.ycaster.com/

幻冬舎の月刊誌『ゲーテ』、共同通信社、『日経ビジネス』などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。著書に最新刊として『ITとカースト:インド・成長の秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える』(新潮新書2006年)。その他『上品で美しい国家』(ビジネス社 2006年)、『スピードの経済』(日本経済新聞社 1997年)、『ビッグバン時代のネット活用術』(東洋経済新報社 1998年)、『グリーンスパンは神様か』(TBSブリタニカ 2001年)。訳書に『グリーンスパンの魔術』(日本経済新聞社 2000年)『欧州の挑戦』(時事通信社 1992年)など。

現在出演中の番組は、テレビ朝日「やじうまプラス×2」(毎週木曜日朝6時)、関西テレビ「ニュース・アンカー」(毎週火曜日、番組は午後5時から)、テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」(土曜日、月1回程度)、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(毎週金曜日朝7時台)、ラジオNIKKEIの「Roundup World Now」、「Asia today」、「マーケット・トレンド」など。

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