異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

四川大地震が残した教訓
格差是正と環境保全の努力を

浮かび上がった「体制の弱点」

 四川大地震の6万人を超える死者のかなりの部分は、「人災被害」の疑いが強い。学校に対する建築基準がきちんと守られていたら、子供の死者の数は、はるかに少なかったのだろう。しかし実際には、地方官吏と建築業者が賄賂などで結託して、脆弱な学校を作り続けていたという。この調査が進めば、中国の行政のひずみが一気に明らかになって、「政権批判」「体制批判」に繋がる可能性も強い。「いったい社会主義という体制で、国民を地震から守れるのか?」という疑問が出て、当然だからだ。

 どこの地震でもそうだが、被害の状況は、立っている建物の強度に反比例する。建物が弱いほど、被害が甚大になるのだ。今回の中国、四川省の地震で明らかになったのは、まだら模様の強い中国の発展形態の影の部分である。倒壊は、発展が遅れていたところほど多かった。日本が戦後の50年で遂げた発展を、わずかこの10年で中国は経験していると言われるが、その「急いだ姿」が、「体制の弱点」が、地震であぶり出された印象がする。

 四川省は中国でも沿岸部に対する出稼ぎの一番多いところである。出稼ぎ家族の中で就学年齢に達した小学生の多くは、都市の学校に入れず、祖父母を頼って四川省に戻される。そういう子供も数多く被害にあった。しかも、頼りにしていた学校で、である。中国の発展の矛盾が地震で浮かび上がった形だ。都市住民と農村住民を分ける「戸籍」の問題も大きくクローズアップされた。

 四川省各地にあると言われる、危険な工場などが抱える問題も浮き彫りになった。いくつかの工場からは、有害な化学物質が漏出したと言われる。また、合計32個の放射性物質が、倒壊したビルなどの下敷きになったとされる。このうち30個は回収、残りの2個もすでに場所を特定し、安全を確保する措置を取ったとされるが、日本の地震でも明らかになった「地震と原子力」の問題が、改めて大きな課題として残った。工場やその他施設の安全基準の見直しが急務である。

 四川省での大地震が明らかにしたのは、「地震が他に例を見ない大規模な環境破壊力を持つ」ということだ。自然災害として仕方のない部分もあるが、防げた自然破壊、人命の喪失も多かったのではないか。中国や途上国全体が、そして先進国であっても日本などが抱えた多くの共通の問題が、浮かび上がった災害だった。
 

伊藤洋一 氏伊藤 洋一 氏 (いとう よういち)

1950年長野県生まれ。現在、住信基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。筆者HPは http://www.ycaster.com/

幻冬舎の月刊誌『ゲーテ』、共同通信社、『日経ビジネス』などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。著書に最新刊として『ITとカースト:インド・成長の秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える』(新潮新書2006年)。その他『上品で美しい国家』(ビジネス社 2006年)、『スピードの経済』(日本経済新聞社 1997年)、『ビッグバン時代のネット活用術』(東洋経済新報社 1998年)、『グリーンスパンは神様か』(TBSブリタニカ 2001年)。訳書に『グリーンスパンの魔術』(日本経済新聞社 2000年)『欧州の挑戦』(時事通信社 1992年)など。

現在出演中の番組は、テレビ朝日「やじうまプラス×2」(毎週木曜日朝6時)、関西テレビ「ニュース・アンカー」(毎週火曜日、番組は午後5時から)、テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」(土曜日、月1回程度)、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(毎週金曜日朝7時台)、ラジオNIKKEIの「Roundup World Now」、「Asia today」、「マーケット・トレンド」など。

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この記事の目次
四川大地震が残した教訓
格差是正と環境保全の努力を

国際協力 途上国支援