異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

顕在化した食糧クライシス
温暖化との関係をサミット討議へ

他人事ではない。日本も食糧危機対策を

 日本でも4月の麦価30%引き上げで注目を浴びた世界の小麦相場高騰は、オーストラリアの早魃を一因としている。オーストラリアの早魃は降雨不足に尽きる。同国の小麦生産地帯の多くは、もともと降水量が少なかったが、一昨年からは例年の4分の1から3分の1程度の雨しか降らず、地域によっては1カ月に1度も降雨のなかった地域も出た。土地が干上がり、これに絶望した農民の自殺も出る状況になっている。

 小麦価格高騰の大きな要因になったオーストラリアの早魃が、もっぱら地球温暖化による気候変動によって生じたかどうかは直ちに立証できない。しかし「深い関係があるのではないか」と見られているし、オーストラリア穀倉地帯の少雨の状況は、今年から来年にかけても続くと見られている。ということは、穀物価格の上昇や巨大途上国での需要増大の影響もあって、世界の貧しい国々、貧しい人々を襲う食糧不足は当面続くということだ。

 日本は他人事ではない。そもそも小麦であれ、コメであれ、トウモロコシであれ、他国に輸出できる余裕のある生産国は減少している。輸出しなければ外貨が稼げないから輸出するだろうと考えるのは普通だが、しかし、国内でも食糧不足になれば国民の反対で実際に生産国が輸出できなくなる事態も予想されるのである。つまり絶対量が不足する事態が起きうるのである。そのとき日本はどうするのか。なにせ食糧自給率39%なのだから。

 お金で買いあさるようなことをすれば、世界から反発を受けることは明らかだ。需要を抑えることはできるだろうか。中国、インドばかりでなく世界各国で豊かな食生活を始めたばかりの人々は大勢いる。先進国は、ずっと豊かな生活を謳歌してきた。流通の見直しなど、思い切った手段を講じなければ、需要は減りそうもない。サミットでは、こうした点も討議の対象となるだろう。

 取っ掛かりはある。例えば日本は、輸入量にほぼ等しい食料品を何らかの形(食べ残し、売れ残りなど)で廃棄している。他の先進国、新興国も、廃棄に回る食料品は多いはずだ。実に「もったいない」。一方で、地球温暖化に少しでも歯止めを掛けて、穀物の生産量が減らないようにしなければならないし、加えて技術革新で、消費者が安心できる形でバイオ技術も使って生産量を増やさなければならない。危機は、これまでの生活を見直す好機でもある。
 

伊藤洋一 氏伊藤 洋一 氏 (いとう よういち)

1950年長野県生まれ。現在、住信基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。筆者HPは http://www.ycaster.com/

幻冬舎の月刊誌『ゲーテ』、共同通信社、『日経ビジネス』などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。著書に最新刊として『ITとカースト:インド・成長の秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える』(新潮新書2006年)。その他『上品で美しい国家』(ビジネス社 2006年)、『スピードの経済』(日本経済新聞社 1997年)、『ビッグバン時代のネット活用術』(東洋経済新報社 1998年)、『グリーンスパンは神様か』(TBSブリタニカ 2001年)。訳書に『グリーンスパンの魔術』(日本経済新聞社 2000年)『欧州の挑戦』(時事通信社 1992年)など。

現在出演中の番組は、テレビ朝日「やじうまプラス×2」(毎週木曜日朝6時)、関西テレビ「ニュース・アンカー」(毎週火曜日、番組は午後5時から)、テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」(土曜日、月1回程度)、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(毎週金曜日朝7時台)、ラジオNIKKEIの「Roundup World Now」、「Asia today」、「マーケット・トレンド」など。

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この記事の目次
顕在化した食糧クライシス
温暖化との関係をサミット討議へ

エネルギー技術 バイオ燃料

エネルギー政策 米国/欧州

国際交渉 サミット

温暖化の影響 異常気象