


COP15、温暖化交渉を読む
コラム
伊藤洋一の『BRICsの衝撃』
噴出したチベット問題
引き続き中国について書く。3月13日に公開された 前回のコラム 執筆の直後に、同国のチベット自治区のラサや四川、青海、甘粛、雲南などの省内にあるチベット族自治州で、かなり大きな暴動やデモ、それに対する発砲などがあり、多数の死者や負傷者、それに逮捕者が出たと伝えられたからだ。中国には、「環境」より優先する問題がいくつもある、との印象をあらためて持った。
チベット自治区の面積は122万km2以上で、中国の総面積の約12.8%を占める。位置としては中国南西部の国境地帯、青蔵(青海・チベット)高原の南西部にあり、「世界の屋根」と呼ばれている。面積は、日本の37万7835km2を遙かに上回る。各省にあるチベット自治州を含めれば、今回の一連の騒ぎに関連する地域の面積はもっと広い。
そればかりではなく、チベットが揺籃したチベット仏教の影響は中国国内ばかりでなく、モンゴルにまで及ぶ。筆者が昨年9月にモンゴルに行って見たのは、チベット仏教の寺院であり、その寺院を大切にし、そこに集うモンゴルの人々だった。チベットやチベット仏教の影響力は、中国を挟み込むように大きい。それが筆者の実感だ。
一連の騒動を巡る中国当局者の発言を注意深く見守っていて、筆者は中国共産党チベット自治区委員会のトップ、張慶黎書記の発言に注目した。同書記は3月18日に同委員会と自治区政府の合同会議において、ラサで14日に発生した暴動について「ダライ・ラマ集団が北京五輪の失敗と自治区の安定破壊を狙って画策した」と指摘したあと、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世らの活動を「チベットでの共産党の指導を否定し、社会主義制度を覆すのが目的」と分析し、さらにダライ・ラマ側と「生きるか死ぬかの血みどろの戦い」を続けていると強調した、という。



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