異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

噴出したチベット問題

チベットの反乱は中国が抱える問題の象徴

 資本を持たないチベットの人々が得られるのは、多くの場合、低賃金労働だけだ。モンゴルでも、資本を持ち込み、現地の人を低賃金で使う中国の人々に対する反感は強かった。虐げられたチベットの人々が、戦後の恨みをためてきていたとしても当然だろう。むろん、格差は、漢族の仲間同士でも生じている。しかし、そこに民族問題が絡むがゆえに、事態は複雑だし、今回の騒動が一朝一夕には終わらないだろうことを予感させる。チベットの民衆の反乱は、中国国内で深まる「民族問題」と、進む「格差問題」の象徴なのである。

 中国にとっては、チベット自治区での問題が他の地区に波及することは、何としても避けたい。中国にとって気になるのは、イスラム教分離派の動きが顕著になってきた新疆ウイグル自治区、さらには内モンゴル自治区だろうか。さらに言えば、台湾問題への波及も懸念される。今の中国の体制にとって、「チベットを抑えねばならない」という脅迫観念は、非常に強いと思慮される。

 しかし、中国がチベットに対する抑圧姿勢を強めれば強めるほど、国際社会の非難の眼差しは強くなる。国単位でなくても、今のような情勢が続けば、個人でも北京オリンピックへの参加を拒否する選手は出てくるだろう。チベットの混乱が続いているなかでの北京オリンピックの予定通りの開催は、今の国際世論からすれば、なかなか難しい。

 一時、破竹の勢いで上昇していた中国の株価の動きも頭打ちであり、中国経済の成長力にも陰りが見える。日本の隣にあって、環境に大きな問題を抱える国・中国は、それ以外でも、今の体制を揺さぶりかねない大きな問題に直面していると言える。
 

伊藤洋一 氏伊藤 洋一 氏 (いとう よういち)

1950年長野県生まれ。現在、住信基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。筆者HPは http://www.ycaster.com/

幻冬舎の月刊誌『ゲーテ』、共同通信社、『日経ビジネス』などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。著書に最新刊として『ITとカースト:インド・成長の秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える』(新潮新書2006年)。その他『上品で美しい国家』(ビジネス社 2006年)、『スピードの経済』(日本経済新聞社 1997年)、『ビッグバン時代のネット活用術』(東洋経済新報社 1998年)、『グリーンスパンは神様か』(TBSブリタニカ 2001年)。訳書に『グリーンスパンの魔術』(日本経済新聞社 2000年)『欧州の挑戦』(時事通信社 1992年)など。

現在出演中の番組は、テレビ朝日「やじうまプラス×2」(毎週木曜日朝6時)、関西テレビ「ニュース・アンカー」(毎週火曜日、番組は午後5時から)、テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」(土曜日、月1回程度)、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(毎週金曜日朝7時台)、ラジオNIKKEIの「Roundup World Now」、「Asia today」、「マーケット・トレンド」など。

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