


COP15、温暖化交渉を読む
コラム
伊藤洋一の『BRICsの衝撃』
ツバルの悲鳴
インドネシアのバリ島で開かれている「国連気候変動枠組条約第13回締約国会議(COP13)」や今年相次いで衝撃的な報告をまとめた「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」など、一連の温暖化対策会議を横目で見ながら、1週間ほど米国を取材してきた。その前のドイツ取材に続くものだ。米国では主に、同国で始まった「原子力ルネッサンス」(石油価格高騰、二酸化炭素(CO2)削減をめざした動きのなかでの原子力発電の見直し)の動きに対する、賛否両サイドの意見を聞いた。これも来年早々の番組のためなので、それを楽しみにしてもらいたい。
米国にいても、バリでの議論の展開は非常に気になった。中国が自国民への環境悪化の悪影響などからCO2排出量の規制に関する考え方を変えるのかと思ったら、従来の「まず先進国、特に米国が」という、相変わらずの姿勢を取ったのにはがっかりだった。インドの動きが伝わらないのも気になった。また米政府の姿勢が、あくまで数値目標設定に乗り出さなかったのも、米国内での環境論議の高まりを知っているだけに、ブッシュ大統領率いる現政権の動きの鈍さの象徴のような気がした。そういう日本も、京都議定書を決めた締約国会議の開催国でありながら、国際社会に対して説得力のある国内努力の成果を誇れなかったのは無念である。
そうしたなかで、筆者が一番気になったし、切迫感のある動きだなと思ったのは南太平洋の島国・ツバルが、各国の議論の行き詰まり状態に警告を発するかのように、地球温暖化対策の独自案を提出したことだ。なにせツバルは、温暖化が原因とみられる海面上昇で水没の危機にある。日本のテレビなどでも繰り返し映し出されている。あれを見て世界では、「可哀想な国」だと思う人が多いのだという。しかし、あれは別にツバルだけの話ではない。今の地球上の人間居住地区のなかには、海面すれすれ、いや海面以下のところがいっぱいあるのだ。それを忘れている。


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