異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

カーストと貧困のインド[前編]

「豊かさへの渇望」が生む破壊

貧しくても現状肯定する理由

 「カースト」という単語は、もともとポルトガル語で「血統」を表す語であった。かつてはカースト間の移動は認められておらず、またカーストは親から子へと受け継がれる。結婚も同じカースト間で行われる。むろん、現在は憲法で禁止されているが、実際には人種差別的にインド社会に深く根づいている。

 カースト制度を理解するうえで非常に重要なことは、ヒンズー教では、生きている間はカースト制度の枠内で身分も職業も変えられないが、「現在のカーストでの人生の結果によって、死後の未来に高いカーストに上がることができる」と教えていること。とりようによっては、現世の身分の低さは最初から諦め、その代わり、死後に希望が持てる教えになっている。「現在のカーストは過去の生の結果であるから、今の置かれている環境を受け入れて人生を生きるべきだ」という考え方が根本にあるということだ。

 一例を挙げると、非常に保守的な農村地帯であるパンジャブ州などでは、国会議員選挙に、大地主と、それと敵対するカースト制度廃止運動家が立候補した場合には、外から見てカースト制度に苦しめられている人が圧倒的に多いと思われても、大地主が勝ってしまうというのだ。現世で大地主に奉仕すれば、来世ではいいカーストに生まれ変われると、今でも多くの選挙民が信じているからだという。

 つまり、カースト制度というのは、その教えのなかに現状肯定的、社会制度維持的な方向性を色濃く持っていることになる。われわれ日本人は、「人生は一回きり」と、よく口に出しているし、実際にそう思っているから「これもしよう」「あれにも挑戦する」となる。「人生は一回」と思って生きてきた日本人には、「インドの人たち、特に貧しい人たちは現状を変えたがっているに違いない」と思えるし、事実そういう人もいる。

 しかしヒンズー教を深く信じれば信じるほど、そして教育レベルが低ければ低いほど、実際の行動が現状肯定的になる傾向があるというのだ。実際に、インドの選挙ではこうした側面が色濃く出る。
 

>>後編に続く
 

伊藤洋一 氏伊藤 洋一 氏 (いとう よういち)

1950年長野県生まれ。現在、住信基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。筆者HPは http://www.ycaster.com/

幻冬舎の月刊誌『ゲーテ』、共同通信社、『日経ビジネス』などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。著書に最新刊として『ITとカースト:インド・成長の秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える』(新潮新書2006年)。その他『上品で美しい国家』(ビジネス社 2006年)、『スピードの経済』(日本経済新聞社 1997年)、『ビッグバン時代のネット活用術』(東洋経済新報社 1998年)、『グリーンスパンは神様か』(TBSブリタニカ 2001年)。訳書に『グリーンスパンの魔術』(日本経済新聞社 2000年)『欧州の挑戦』(時事通信社 1992年)など。

現在出演中の番組は、テレビ朝日「やじうまプラス×2」(毎週木曜日朝6時)、関西テレビ「ニュース・アンカー」(毎週火曜日、番組は午後5時から)、テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」(土曜日、月1回程度)、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(毎週金曜日朝7時台)、ラジオNIKKEIの「Roundup World Now」、「Asia today」、「マーケット・トレンド」など。

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