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温暖化国際交渉、COP16の意義
コラム
伊藤洋一の『BRICsの衝撃』
深刻化するインドの水不足
私が行ったときだけだったのかも知れないが、川は涸れていたし、村の中にあったいくつかの井戸を覗いてみたが、どれも底が水ではなく土の黒さで黒光りしていた。「水不足だな」と実感したのは、「明日、もし朝に雨が降ったら種まきをするので、その場面を撮影する」という撮影スケジュールになったこと。私は日本の農村も知っているが、種まきは大体スケジュール通りする。「雨待ち」ということは聞いたことがあまりない。結局、その日、朝には雨が降らず、種まきの撮影は行わずに、村人の話を聞くだけにした。
広いインドだ。私が遭遇した時期のニューデリー、私が行った時期のパンタルパルに、たまたま雨が降らなかっただけなのかもしれない。しかし、インドの大地を移動しながら思ったことはいくつもある。別にどの地方というのではなく、とにかく植物の種類と豊かさが日本に比べて格段に落ちるのである。木と言っても、日本のような緑がふさふさした巨大なそれではない。実は灌木と言ってしまったほうがよいような樹木が散在しているというに過ぎない。森も薄い。うっそうとはしていないのだ。
これは正直な話、海外にいて日本に帰国するたびに感じることだ。それは、春雨があり、6月には梅雨があり、夏から秋にかけては台風が来るし、秋には秋雨がある日本は、熱帯に位置していないにも関わらず、実はこの地球上でも、最も雨に恵まれた列島かもしれないということだ。それは一年中雨が降っている屋久島がそうであるように、海に面していて、かつ雲を作る高い山に恵まれた列島だからだ。
新幹線で移動しながらいつも思う。「この国は人間が住まなくなったら、100年もすれば森林に覆われる」と。日本は舗装が進んでいるということも一つだが、土があれば必ず雑草か人間が植えた植物がその上に生えていて、国土が土色をしていない。世界の大部分の地方では違う。それが砂漠であれ、土砂の土地であれ、むき出しになっているかなりの部分は緑に覆われない土そのものであり、植物が十分に育つに足る、水分の不足を物語っている。
そういう意味では、日本の方が世界では珍しい国だということだ。しかし世界では、人口爆発の中で多くの国が激しい水不足に直面している。その一つの代表例が人口で10億人を抱えるインドなのだ。
伊藤 洋一 氏 (いとう よういち)
1950年長野県生まれ。現在、住信基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。筆者HPは http://www.ycaster.com/
幻冬舎の月刊誌『ゲーテ』、共同通信社、『日経ビジネス』などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。著書に最新刊として『ITとカースト:インド・成長の秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える』(新潮新書2006年)。その他『上品で美しい国家』(ビジネス社 2006年)、『スピードの経済』(日本経済新聞社 1997年)、『ビッグバン時代のネット活用術』(東洋経済新報社 1998年)、『グリーンスパンは神様か』(TBSブリタニカ 2001年)。訳書に『グリーンスパンの魔術』(日本経済新聞社 2000年)『欧州の挑戦』(時事通信社 1992年)など。
現在出演中の番組は、テレビ朝日「やじうまプラス×2」(毎週木曜日朝6時)、関西テレビ「ニュース・アンカー」(毎週火曜日、番組は午後5時から)、テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」(土曜日、月1回程度)、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(毎週金曜日朝7時台)、ラジオNIKKEIの「Roundup World Now」、「Asia today」、「マーケット・トレンド」など。
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