異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

「爆発的発展」と「貧困」の共存=インド

国際化の激流に翻弄される悲惨な農村

 つまり、インドは中国以上に「実に巨大なインフラ整備中の国」ということだ。道路の建設があちこちで進み、光ファイバーの埋め立てがあり、水道を設置し、そして下水関係の工事もある。まるでいつも、「来年、デリーでオリンピックが開かれる」かのような喧噪なのだ。つまり、粉塵と騒音が凄まじい。

 特に冬のニューデリーの天候はいただけない。とにかく霧とスモッグで、日中でも視界がはっきりしないのである。車については、デリーのある州では数年前に、ディーゼルが使用禁止になって圧縮天然ガス(CNG)と呼ばれる燃料が使われている。それでも、けたたましく走る車の出す排気ガスは凄まじく、加えて霧のかかりやすい気候が、ニューデリーの冬を重いものにしている。さらに、この霧ゆえに、デリーを発着する飛行機の予定は極めて不安定である。インドも環境の悪化は凄まじい勢いで進んでいる。それがインドの都市だ。

 しかし、「成長」や「力強さ」「変化」を感じるインドの大都市とはまったく対照的に、一見、牧歌的に見えるインドの農村は、その実、非常に貧しい。しかも、目を覆うほど“凄く”貧しい。昨年6月に、実際にインドの農村まで取材に行った私の素直な印象だ。

 悲惨なのは、牧歌的に見えながら、インドの農村は経済の国際化やグローバライゼーションの激流にしっかりと巻き込まれていることだ。それが農民の生活を苦しいものにしている。なぜなら、インドの農民の大部分は文字が読めず、金融やバイオテクに関する知識が得られない。よく理解していないことが起きているなかで、バイオ種子が入り込み、それを買うためのローンも普及している。厳しい競争と市場の論理が貫徹するグローバライゼーションが足早に浸透してきているのである。

 貧困はしばしば、人々の環境に対する配慮を後回しにする。生きるのが第一だからだ。貧困はインドの都市にもはびこっている。私が見るところ、この「爆発的発展」と「貧困」の共存こそが、インドが抱える複雑な環境問題の一つの大きな背景である。
 

伊藤洋一 氏伊藤 洋一 氏 (いとう よういち)

1950年長野県生まれ。現在、住信基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。筆者HPは http://www.ycaster.com/

幻冬舎の月刊誌『ゲーテ』、共同通信社、『日経ビジネス』などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。著書に最新刊として『ITとカースト:インド・成長の秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える』(新潮新書2006年)。その他『上品で美しい国家』(ビジネス社 2006年)、『スピードの経済』(日本経済新聞社 1997年)、『ビッグバン時代のネット活用術』(東洋経済新報社 1998年)、『グリーンスパンは神様か』(TBSブリタニカ 2001年)。訳書に『グリーンスパンの魔術』(日本経済新聞社 2000年)『欧州の挑戦』(時事通信社 1992年)など。

現在出演中の番組は、テレビ朝日「やじうまプラス×2」(毎週木曜日朝6時)、関西テレビ「ニュース・アンカー」(毎週火曜日、番組は午後5時から)、テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」(土曜日、月1回程度)、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(毎週金曜日朝7時台)、ラジオNIKKEIの「Roundup World Now」、「Asia today」、「マーケット・トレンド」など。

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