異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

「オリンピック」と「輸出」

中国が直面する成長の壁

中国製品忌避の動きとオリンピック問題は同根だった

 中国経済の成長持続にとって、もっと深刻なのは、その欠陥の多さや品質に対する信頼性の欠如ゆえに、世界的に中国製品を忌避する傾向が強まっていることだ。ペット用食品、歯磨き粉、玩具塗料への鉛の使用などで “中国製品”に問題が続発している米国では、連邦議会議員のなかから「中国製品に対する輸入規制」を唱える人も出てきた。米国の輸入規制論は、通常であれば、大部分が国内関連産業への打撃が要因となって発生する。ところが、問題になっている中国の対米輸出商品市場をみると、米企業がすでに駆逐されているケースも多い。それでも連邦議会議員が動くということは、それだけ“中国製品”が米国人の生活に引き起こしている問題が深刻だ、ということだ。

 世界に広がる中国製品忌避の動きは、一見、環境問題とは関係ないように見える。しかし、企業にとって一番大事な消費者のことを考えていないという姿勢は、環境意識の低さと軌を一にする問題である。子供用の玩具の塗料から相次いで鉛が検出された問題は、その代表例だ。問題が深刻なのは、中国社会全体の環境意識レベルが低いために、普通なら、「当然そんなことはない」と思われることが、儲け第一の荒々しい市場経済のなかで容易にまかり通っているという点だ。これは実に根深い。中国の製品では、部品納入業者からメーカーに、悪しき部品がしばしば納入される。メーカーもそれを察知できない。それは社会全体の環境意識レベルの問題でもある。

 消費者を含めて、人とその未来を大事にするということが、環境を思う最も根幹の意識だとするならば、世界に広がる中国製品忌避の波は、「環境問題に目をつぶって成長を急ぐ」という中国の政策そのものの破綻(少なくとも一部の)を意味しているように見える。この原稿を書いている最中に、8月18日(土曜日)のテレビ欄を見たら、テレビ東京の人気番組『ワールド・ビジネス・サテライト土曜版』の番組タイトルに「中国製品なしの暮らしは可能か」を見つけた。ある意味ではタイムリーな、そしてある意味では衝撃的なタイトルである。

 今の中国の根っこにある環境無視、ないし環境軽視の思潮は、オリンピックと輸出の両方で、すでに大きな問題を招来しつつある。中国にとって、急に見えてきた「成長の壁」である。
 

伊藤洋一 氏伊藤 洋一 氏 (いとう よういち)

1950年長野県生まれ。現在、住信基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。筆者HPは http://www.ycaster.com/

幻冬舎の月刊誌『ゲーテ』、共同通信社、『日経ビジネス』などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。著書に最新刊として『ITとカースト:インド・成長の秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える』(新潮新書2006年)。その他『上品で美しい国家』(ビジネス社 2006年)、『スピードの経済』(日本経済新聞社 1997年)、『ビッグバン時代のネット活用術』(東洋経済新報社 1998年)、『グリーンスパンは神様か』(TBSブリタニカ 2001年)。訳書に『グリーンスパンの魔術』(日本経済新聞社 2000年)『欧州の挑戦』(時事通信社 1992年)など。

現在出演中の番組は、テレビ朝日「やじうまプラス×2」(毎週木曜日朝6時)、関西テレビ「ニュース・アンカー」(毎週火曜日、番組は午後5時から)、テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」(土曜日、月1回程度)、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(毎週金曜日朝7時台)、ラジオNIKKEIの「Roundup World Now」、「Asia today」、「マーケット・トレンド」など。

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