異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

「環境を無視した社会主義」

2007年7月19日(木)公開
ベルリンの壁崩壊後の東ドイツと現在の中国の共通項

 中国とインドに関して、もう、われわれが忘れかけていることがある。それは、この二つの国とも、かつては「社会主義」または「社会主義的」経済思考を経済運営の柱にしていたことだ。中国の政治体制は今でも、日本など民主主義国家の国民が慣れた自由選挙を許さない社会主義体制であり、この体制を当面続けると言っている。インドは、1990年までは経済政策に社会主義の手法を広範に使っていた。

 その「社会主義」と「環境」は、どういう関係にあるのか。今の中国やインドを考えるうえで、一つの重要なポイントだと思う。

 「社会主義と環境」を考えるうえで筆者の心のなかに強烈な印象として残っているのは、ベルリンの壁の崩壊直後、1990年の東ドイツだ。ハンブルクから車で移動し、そして当時まだあった東西ドイツの国境を越えて東ドイツに入ったところに、巨大な、山と言っていいような丘を見つけた。しかし、木も生えていない異様な丘なので、「あれは何か」と聞いたら、ゴミの山だというのだ。本当に驚いた。幹線道路沿いにあるのだから。隠そうという意図はまったく見えない。車で通り過ぎたから分からなかったが、異様な臭いがしたに違いない。

 このゴミの山は例外ではなかった。崩壊直後の東ドイツは、オリンピックで華々しく活躍した選手達の綺麗な顔からは想像もできないほど、国が全体として汚かったのである。隣の西ドイツと比べて、とても同じ民族の国とは思えなかった。西ドイツにも汚い場所はあった。フランクフルトの駅回りなど。しかし、それとは違った汚さなのだ。古城は朽ち果て、道路は中世を思わせる石畳で、冬だったからかもしれないが、車が通ると凄いはね(泥水の)があがるような状態だった。そういえば3年ほど前に乗った、大連から瀋陽までの列車の線路沿いも、凄まじいゴミの山だった。

 経済体制としての社会主義は、私の理解では「生産管理」を特徴とする。生産を請け負うのは農業であれ工業であれ、ほとんど国営の企業または公社だ。中国でもインドでも、社会主義経済体制のときは、国が関与した企業や公社がかなりの商品の生産を請け負った。評価指標は生産“量”であって、質とか消費者の嗜好への対応といったことではない。まず「量」の確保が問題であり、それが評価対象だったから、生産残余物、具体的にはゴミへの配慮はゼロに近かったに違いない。だからこその、東ドイツのゴミの山だったのだろうし、同じように、大連から瀋陽の線路周りのゴミなのだろう。
 

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