異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

伊藤洋一の『BRICsの衝撃』

「環境を無視した社会主義」

「社会主義的」経済思考では「環境」に気が回らない

 今の中国とインドは、明らかに社会主義を経済政策の柱とした後遺症を残している、と筆者は思う。特に中国に、その悪影響が出ている。中国の多くの国営企業が目指したのは、すでに指摘した通り「量」であった。質や、消費者の嗜好への対応は後回しだった。そこに改革開放で「(国の援助からの)自立」と「利益」を求められた。頭が切り替わらないうちに、荒々しい、そして無秩序な市場経済に投げ込まれ、そのまま来ているのである。

 利益は、貧しい国内市場よりも輸出で得られる。ペットフードから歯磨き粉、汚染されたウナギなどの魚類、あらゆる中国製品が今、やり玉に挙げられている。改革開放が始まってから四半世紀たっても、政治体制が社会主義であるがゆえに、製品の質を確保し、消費者の嗜好を大事にする生産体制は、まったく整っていないというのが当たっているのだろう。

 中国企業がまだ「量」重視の考え方を捨て切れていないとしたら、生産プロセスでのゴミや汚染の問題も軽く見られていると考えるのが自然だ。そこが世界にとって問題なのだ。今後、輸出商品の品質管理が進んでも、中国国内の品質管理や汚染、ゴミ対策は後回しになる可能性がある。中国の環境問題には、ここ当面、「体制の問題」「体制の限界」が付きまとうと思う。

 インドの主要輸出品はソフトウエアや人材である。世界のスーパーの商品棚を見ても、インド製品はあまり見掛けない。そこが中国と違うところだ。しかしインドの産業界には、社会主義経済政策の残滓が色濃く残っている。その例外にあるのは、90年代からインドで発展したIT産業だけだ。インドの環境問題が深刻化するのは、これからだと考える。

 世界中が市場経済に、そして消費者主権になったからこそ、今の世界的な環境問題への意識の高まりがある。しかし制度と思潮で、中国とインドに残る社会主義の残滓。この二つの国の環境問題を考えるうえで、非常に重要なポイントだと思うがいかがだろうか。
 

伊藤洋一 氏伊藤 洋一 氏 (いとう よういち)

1950年長野県生まれ。現在、住信基礎研究所主席研究員。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。筆者HPは http://www.ycaster.com/

幻冬舎の月刊誌『ゲーテ』、共同通信社、『日経ビジネス』などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。著書に最新刊として『ITとカースト:インド・成長の秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える』(新潮新書2006年)。その他『上品で美しい国家』(ビジネス社 2006年)、『スピードの経済』(日本経済新聞社 1997年)、『ビッグバン時代のネット活用術』(東洋経済新報社 1998年)、『グリーンスパンは神様か』(TBSブリタニカ 2001年)。訳書に『グリーンスパンの魔術』(日本経済新聞社 2000年)『欧州の挑戦』(時事通信社 1992年)など。

現在出演中の番組は、テレビ朝日「やじうまプラス×2」(毎週木曜日朝6時)、関西テレビ「ニュース・アンカー」(毎週火曜日、番組は午後5時から)、テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」(土曜日、月1回程度)、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」(毎週金曜日朝7時台)、ラジオNIKKEIの「Roundup World Now」、「Asia today」、「マーケット・トレンド」など。

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