


COP15、温暖化交渉を読む
コラム
伊藤洋一の『BRICsの衝撃』
制約に直面する高成長=中国、インド
中国とインド。推定合計で25億人の人口を持つ。地球人口の3分の1以上だ。その二つの国が、ともに凄まじい成長を開始している。食べるのにやっとの民を何億も抱えながら、しかし、主要都市を中心に猛スピードで経済活動を活発化させているのだ。国全体としてみると、成長率はともに10%前後に達する。
行くたびに、この二つの国の変化には驚く。日本人の私が、まず入るのは主要都市の空港だが、その空港周りの変化は目覚ましい。そして、それにつながる主要都市の景観も足早に変わっている。具体的には、上海やニューデリーである。しかしその一方で、この二つの国には、何十年と変わらぬ農村の疲弊があり、そこには目を覆う貧困が確かに存在する。
中国とインドの都市、それに農村の両方を襲っているのは環境の劇的な悪化である。この二つの国とも、まず水が不足している。インドでは都市でも農村でも、大きな河川周りは別にして、井戸をより深く掘らなければ取水できない状態になっているところが多い。これを放っておけば、「より井戸を深く掘れる農家や都市業者」だけが水を得られる状況になる。つまり、「水」が貧富の格差を拡大させる要因となっている。
一方、中国では、黄河が渤海まで達しない「断流」現象が1972年から生じており、最近ではこれが恒常化し、実質的に「黄河の枯渇」状況が生じている。北京周辺の水危機の深刻さは、最近のNHK特集でも取り上げられた。北京オリンピックは大丈夫だろうか。
今、中国が進めているのは「南水北調」といって、雨の多い南、具体的には長江から、北の北京に水を運ぶということだが、それだけ中国の水問題が深刻だということだ。
中国の水資源総量は国土の広さと南部の雨量の豊かさゆえに世界の第6位に位置する。しかし、国民一人平均の水資源量は世界平均の25%でしかなく、世界各国の中では第88位。完全な水資源の欠乏国だ。もっと問題なのは、中国でもインドでも水の量ばかりでなく「質」が大幅に劣化していることだ。


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