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スペシャルレポート
BITS2005

2005年6月7日(火)、8日(水)の二日間にわたって日本ユニシスが主催するIT経営戦略のイベント「BITS(Business & IT Strategy)2005」が東京で開催された。
ユーザー事例
Case20-サッポロビール
原料生産者とメーカーが二人三脚で作る栽培情報管理システム
インタビュー
コラム
経営者・マネジメント層のための情報セキュリティ対策集中講座
第3回●セキュアなシステムの構築
 
鈴木貴博の“ビジネス散歩”
鈴木貴博
―連載コラム
第64回(最終回)●負け組の栄光
 
未来に向けた人・組織の新成長モデル
高橋 透
―連載コラム
第5回●小さな挑戦を繰り返して起死回生を果たした「旭山動物園」
 
村井勝のビジネス対談
スピンオフで飛躍する気鋭企業

村井 勝
―連載コラム
第15回(最終回)●生来の「起業家マインド」を渡米で研鑽(さん)
ナノテクとバイオを融合したモデルで市場開拓
 
人とビジネスとITと
高橋 透
―連載コラム
  ズバリ回答!内山悟志のIT部門相談室
内山悟志
―連載コラム
 
ズバリ回答!内山悟志のIT経営教室
内山悟志
―連載コラム
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日本ユニシス unisys
筆者
PROFILE
高橋 透
(たかはし・とおる)

戦略コンサルタント。ニューチャーネットワークス グループ代表。ニューチャーネットワークスは、ニューチャー イノベーション(コンサルティング)、ニューチャーディスカバリー(教育・研修)、ニューチャーポジショニング(診断)の3社体制。主な著書・訳書は「GE式ワークアウト」「インテレクチュアル・キャピタル」「図解でわかるソリューション営業」など。

このページの内容
(前編)
(後編)

第5回
小さな挑戦を繰り返して起死回生を果たした「旭山動物園」
(前編)動物園の来場者は動物にとって「遊び道具」という発想
旭山動物園の「ぺんぎん館」で 旭山動物園の「ぺんぎん館」で、360度見学可能な水中トンネルからペンギンの泳ぐ様子を見たところ。
空を飛ぶように泳ぐペンギンの姿は、水中からでしか見られない迫力のあるものだ

そうだ、オランウータンのジャックと会って話がしたい

旭山動物園は旭川市街からクルマで約20分〜30分のところにある、日本最北の動物園だ
旭山動物園は旭川市街からクルマで約20分〜30分のところにある、日本最北の動物園だ
 北海道旭川市の旭山動物園の取材をしたのは、今こうして原稿を書き出す約4カ月前であった。「情報は生のうちに加工しなければ」とは思いつつも、あっという間に時間がたってしまった。言い訳になってしまうが、その間なにもしていなかったわけではない。コンサルティングの仕事や経営幹部研修での息抜きの話題として、旭山動物園のことを多くの人にぶつけてみていたのだ。

 「昨年、入場者数が上野動物園を越えた月があった」などといった数々のマスコミの情報で旭山動物園をすでに知っている人が大半。小泉自民党圧勝の衆議院選挙前の、多くの人が日本はまだ景気が踊り場を脱しきれていないと感じていた時であったためか、経営改革にすこしでもヒントになるのではと、“旭山動物園の業績回復のブレークスルーの方法は何であったのか”を、多くの人は私から聞きたがった。しかし、私の話のほとんどは、オランウータンやホッキョクグマ、ペンギンなど、旭山動物園に行った際に体験した動物たちのおもしろさであった。

 私は“何かのマニアになる”“熱烈なファンになる”といったことはほとんどない。ましてや動物園のファンになるということはあり得ない。しかし、このコラムの原稿を作成しようと、いくつかの資料を手にしたその時、ある衝撃が私を襲った。

 「そうだ、オランウータンのジャックと会って話がしたい」。

 それは、旭山動物園のカンバンとも言える、オスのオランウータン「ジャック」の写真が目に入った瞬間であった。4カ月前、旭山動物園でオスのオランウータンの「ジャック」が地上17メートルの鉄塔に登る途中で、私の方を見つめたその情景を思い出したのだ。

 「今日も俺のところに、たくさんの人が来ているな。あれ。きみはだれ?平日なのに働き盛りのお父さんが動物園に?しかも子連れでもない。まあいいよ。なんでもいいからゆっくり遊んでいって」。

オスのオランウータン「ジャック」。オランウータンとは、マレー語で「森の人」という意味である ジャックが空中散歩をしているところ。オランウータンは、樹上生活のなかで主に腕を使って移動する(「ブラキエーション」という)
オスのオランウータン「ジャック」。オランウータンとは、マレー語で「森の人」という意味である ジャックが空中散歩をしているところ。オランウータンは、樹上生活のなかで主に腕を使って移動する(「ブラキエーション」という)。「おらんうーたん館」の高さは17メートルあるが、野生のオランウータンはもっと高いところをブラキエーションするという

 オランウータンのジャックがそう話したわけではないが、ゆったりと私の方を振り向いたジャックの目、表情、優しさがそう話しかけてきた様な気がしたのだ。週末にふと、学生時代のなつかしい友人と会ってゆっくり話を聞いてもらいたくなることがある。ジャックへの親しみはそういった人間的(?)なものである。

アムールトラの「いっちゃん」(オス)。「もうじゅう館」では、子供の目線の高さに強化ガラスがはめ込まれ、ガラス越しにアムールトラを身近に見学できる。その迫力に小さな子供はビックリする
アムールトラの「いっちゃん」(オス)。「もうじゅう館」では、子供の目線の高さに強化ガラスがはめ込まれ、ガラス越しにアムールトラを身近に見学できる。その迫力に小さな子供はビックリする
  こうして原稿を書いていると、旭山動物園の懐かしい友人たちが次々と思い出される。 カッコいいけどすこし意地悪なアムールトラ(別名:シベリアトラ)の“いっちゃん”。

「偶然を装ってなにげなく人の動きに添って歩いたかと思うと、急に襲いかかろうとして人を驚かせたね。びっくりしたよ。その後、じっとこっちを睨み、おしっこをした。思い出すと許せない。同じことを3歳ぐらいの双子にやっていたね。びっくりして泣き叫んでいたよ。“いっちゃん”ってかわいい名前だけど、悪いやつだ。3歳の双子は相当ショックだったと思うよ。わかっている?こっちは客だぞ。今度会ったときは、驚かないかならな。覚えておけよ」。

 フンボルトペンギン、キングペンギン、イワトビペンギンは、担当の飼育係のお姉さんに引率されて出てきた。

「ぺんぎん館」の屋外の様子。2000年9月に完成した。水中で泳ぐペンギンの姿は、階下に設置されて水中トンネルから見られる 取材した当時、イワトビペンギンが卵を暖めている最中だった(抱卵)。産卵から巣立ちするまでの繁殖期間は、夏季の5カ月間ほどである
「ぺんぎん館」の屋外の様子。2000年9月に完成した。水中で泳ぐペンギンの姿は、階下に設置されて水中トンネルから見られる 取材した当時、イワトビペンギンが卵を暖めている最中だった(抱卵)。産卵から巣立ちするまでの繁殖期間は、夏季の5カ月間ほどである

「お姉さんが奥へ、舎へ帰ろうって言っても、こっちをじっと見ていてくれたね。ちょっとドッキリしたよ。冬場は、おうちから出てきて、皆の前を散歩するんだってね?」  旭山動物園で人気のホッキョクグマを見に行こうと、偶然通りかかり仲良くなったのはエゾヒグマたちであった。

エゾヒグマの「トンコ」。人に対して“興味津々”のようで、檻をよじ登ってこちらを見ていた。オスの「クマゾウ」と同居している
エゾヒグマの「トンコ」。人に対して“興味津々”のようで、檻をよじ登ってこちらを見ていた。オスの「クマゾウ」と同居している
  「“トンコ”ちゃん。“くまぞう”君とはうまくやっているのかな? かわいい女の子の“トンコ”ちゃんは木登りが上手で、高い檻によじ登って、こっちに話かけてくれたよね。君は楽しそうだったけれど、期待以上に近かったから、こっちは熊に襲われる瞬間ってこんなシーンになるのかなあって。ああコワ。一緒に遊ぶってことは、少なくてもこっちは重傷ってことだよね。外でなく旭山動物園で出会えて幸せだったよ、トンコちゃん。キミとは一番長い時間仲良くさせてもらったよ」。

  そう言えば、旭山動物園の小菅正夫園長も真剣におしゃっていた。2005年の初め、冬場もオランウータンと会える室内展示施設「おらんうーたん館」が完成したその頃の話。

飼育担当:「園長。オランウータン館ができて、ジャックがこれまでよりも一回り“人間”が(いやオランウータンが)大きくなった感じです」

小菅園長:「まさか、そんなことあるわけないだろ」。

飼育担当:「園長ほら、ジャックの表情を見てください。他の皆も彼は変わったと言ってます。ほら園長に『背中掻いて』っておねだりしていますよ」。

小菅園長:「分かった、分かった。どこがかゆいのか。右の方ね、よしよし」「えっ!。反対側の左側もだって?」

 園長に対してジャックが背中を左も右もかいてくれと言う要望は、確かに一回り大きくなったと言うことを感じさせるもので、動物の不思議さに、ベテランの園長としてもすこしショックであったようだ。

 旭山動物園。そこを訪れた多くの人は、動物に対する見方が変わる。「動物って、かなり色んなことを感じているし、考えているようだ。それにそれぞれ人間と同じように性格も違うようだ。だから自分と気の合う動物もいれば、ちょっとあいさつ程度にしておきたいのもいる」と感じたのは私だけではないはずだ。

 旭山動物園の小菅園長みたいな、プロのベテランでも、オランウータン館で起こった様な不思議な体験をしょっちゅうする。旭山動物園の動物とのふれ合いは、現代の人間にとって大変刺激的なものである。

旭山動物園の商品・サービス力とは


企業 PROFILE
旭川市旭山動物園
旭川市東旭川町倉沼
開園日:昭和42年(1967年)7月1日
飼育点数:144種 725点(ほ乳類45種,鳥類88種,は虫類11種)平成17年10月31日現在
URL:http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/files/asahiyamazoo/sc02.html

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